10/18厚労省主催母子感染症研修にて講師をつとめました

平成 28 年度 母子保健指導者養成研修事業「母子感染の予防と対策についての研修」が無事に終わりました。
≪到達目標≫
・母子感染についての基本的な知識と最新の情報について説明できる。
・母子感染に関する相談に対し関係機関と連携し、適切な対応をすることができる。
・母子感染予防のための啓発活動を行える。
≪対象者≫ 母子感染に関わる保健師、助産師、看護師等
トーチの会の顧問のおふたり、長崎大小児科教授森内先生と三井記念病院産婦人科部長小島先生と、
トーチの会代表渡邊が講師を務めました。

講義①「押さえておきたい母子感染の基礎知識~小児科医の立場から~」
講師:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 教授 森内 浩幸

森内先生の講演

森内先生の講演は、どこでお話しされても非常に好評で、ところどころ笑いあり、患者家族の実際の声の紹介に涙ありの、とても充実したものでした。
トキソプラズマ、サイトメガロウイルスはもちろん、風疹やB肝など多岐にわたりお話ししてくださいました。
医療関係者でない素人が(今回は保育士が多かった)聞いても内容が理解しやすいもので、
トーチの会の会員の方にもいつか聞かせたい!と思う講演でした。
また、最後のディスカッション時に、森内先生が経験したB型肝炎キャリアのお母さんの葛藤苦しみ、決断の話を聞き、涙が止まりませんでした。

講義②「押さえておきたい母子感染の基礎知識~産婦人科医の立場から~」
講師:社会福祉法人三井記念病院 産婦人科 部長 小島 俊行

小島先生の講演

小島先生のこれまでの臨床経験をもとにされた実際の妊婦さんの症例や、
抗体検査の意味や詳細な方法などについて、普段は聞けないような「一歩踏み込んだ内容が多かったです。

講義③「B 型肝炎の母子感染予防」 講師:筑波大学医学医療系小児科 教授 須磨崎 亮

須磨崎先生の講演

改めて、日本におけるB型肝炎の現状を知ることができました。
そして、どうしてワクチンが定期摂取になったのか。
そもそもB型肝炎がどういったもので、どうして「幼少期に感染すると」怖いのか。
「幼少期」の予防がなぜ大事なのか本当によく理解することができました。
須磨崎先生からは、最後のディスカッション内で当事者の話も伺うことができ、これも涙なしでは聞けないものでした。

講義④「患者会(当事者)の立場から」
講師:先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症 患者会「トーチの会」 代表 渡邊智美

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トーチの会からは、患者会として保健師や保育士など、患者と関わる職種の方に何を求めるか、どういった対応をしてほしいのかなどをお話しさせていただきました。
後半、時間が足らず、だいぶはしょった個所もありましたが、実際にトーチの会に寄せられている質問相談事例や、それらに対する望ましい対応方法などを具体例を挙げて説明させていただきました。
ここでも強調させていただいたのは「はじめに対応する人の知識、情報により、相談者をどこへ導くかによって、正しい予防策や早期発見・早期治療をその方が取れるかどうかが決まってしまうことが多い」ということです。
また、悲しい事例ですが、保育士さんには「誤った知識により入園拒否や隔離保育が行われていた先天性サイトメガロウイルス児の話」をさせていただきました。この話は、私の講演のあとにあるディスカッションの課題、B型肝炎のお子さんに対する対応法と混ざって考えてらっしゃる方もいたので、とくに注意してほしいと思い話しました。

◎グループディスカッション・情報共有 ・講義で学んだ知識を振り返る ・インプットした知識をどのようにアウトプットするか
助言:国立感染症研究所感染症疫学センター第三室 室長 多屋 馨子
助言:横浜市立大学附属市民総合医療センター 総合周産期母子医療センター 非常勤講師 倉澤 健太郎

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ディスカッションで、多屋先生と倉沢先生が考えた課題は
「HBVキャリアの赤ちゃんが保育園に入所後5カ月たってカミングアウトしました。保育園からの相談を受けた、あなたならどうする?」
でした。
サイトメガロウイルスとは違って、いつまでもウイルス排出は続きますし、他の子どもに水平感染した場合にはその子どもに症状が出る可能性があり、入園拒否や隔離保育を、非難できない場合があります。
子どもやそのお母さんのためにどうしてあげればよいか、他の子どもたちを守るためにはどうしたらよいかを真剣に考え話し合う参加者の真摯な様子に涙がでそうになりました。
対応方法に正解はないけど、聴講者たちの熱いディスカッションに本当に心の中で泣きました。よかった。
ただこれだけは言えるというのは…大事なのは誰もがB型肝炎ワクチンを子どものうちに打つということです。
これにより、感染児が悲しい対応を取られることも、周りの子どもたちが危険にさらされることも、防ぐことができます。これは、日本中のお母さんたちに伝えたいと本当に思いました。

<終了後の参加者のアンケートより抜粋>
・CMV、トキソのパンフレットはDLして使用します。
・今日の先生方(小児科・産科・患者)のそれぞれの立場から有意義な話を聞けた。有難うございます。
・母子感染についてここまで深く考え勉強できてよかった。受講できて今後に役立てることができる。
・体験談など話してもらい、有難うございました。
・トキソプラズマ、サイトメガロウイルスについて知識が無いのでとても勉強になりました。今後の妊産婦の関わりに役立てていきたいと思う。

アンケート結果

トーチの会の講演に対しては多くの方に良いと言っていただけました。
今後も、こういった患者としての立場からの発信を続けていきたいと思います。
講演のご依頼も、下記より承っておりますので、よろしくお願いいたします。

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