小梅さんの体験談

32週1日、帝王切開にて
744gの男の子が生まれました。

体験談寄稿 NO.2 小梅さん

2012/09/05 更新

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Data

  • 2001年生まれ
  • 先天性サイトメガロウイルス感染症

STORY

私(小梅)は中等度~重症の喘息です。

子供の頃はいつもゼーゼーいって咳ばかりしていましたが、大人になってからは急に息が詰まったようになる発作を起こしていました。ある時、珍しくゼーゼーが続き「どうしたんだろう…風邪かな?」なんて思っていたのですが、点滴をしてもなかなか治まる気配がありません。4週の時点で妊娠していることがわかり、喘息の薬も整理して副作用が出にくいよう細心の注意をしてもらいました。
しかし喘息発作はおさまることなく入院治療になりました(妊娠5~7週)。大量のステロイド点滴を受けて徐々に減量していくと再び喘息の症状が悪化してきました。「喘息発作により、低酸素状態にさらされることは胎児にとってよくない」「胎児のことを考えると副作用も心配だし、大量のステロイド治療を繰り返すことはできない」「喘息があるとつわりもひどくなりやすく、妊娠中毒症も起こしやすい」「妊娠すると悪くなるタイプの喘息であり、次の妊娠も同様の状態になる。発作の起こりやすい時期なども考慮して次の妊娠をするように…」との説明を受け妊娠2ヶ月から休職して自宅で過ごしてきました。
ステロイドの副作用として抵抗力が落ちることは知っていました。感染予防のため、通院以外は外出せず(通院時は自家用車で、マスク着用は必須でした)、つわりや喘息により痰に溺れる状態だったため、自宅にいてもしょっちゅううがい・手洗いを繰り返していました。

「中絶するかあと2日のうちに決めて下さい」
担当医から衝撃の言葉。

つわりがようやく少しずつおさまってきた妊娠20週。
「(胎児が)週数に比べて半分の体重しかない」といわれ、翌週、部長先生の診察を受けました。
「週数と比較して半分の大きさしかない。いずれは(標準曲線から)離れていって亡くなるだろう。もし生まれたとしてもすぐに亡くなるだろう。」もうすぐ22週になろうとしていました。
「中絶するかあと2日のうちに決めて下さい」
「お勧めは自然のなりゆきに任せることだけど…」との先生の言葉。
「ここまで頑張ってきたのに、おなかの中ではこんなに動いているのになんで中絶って言うの?亡くなるって言うの!この子が生きている時間を大切に過ごし、私がこの子が生きている証を1つでも多く残していこう。私のところにやってきたこと自体、奇跡なのだからこの子の力を信じよう!」と決心しました。

不安な日々を過ごしながらも2001年を迎え、30週に入りました。

年明けの検診で切迫早産といわれ1泊の入院をし「30週までもったし、助かるかどうかわからないけれど積極的に助けにいきますか?助けにいくなら紹介状書きますよ」ということで翌日、母子センターを受診し、そのまま入院となりました。
「羊水が少ない。腎臓がだめかも…」といわれていたものが「少ないけどこれだけ羊水が作れていたら泌尿器系は大丈夫」「心臓に問題があるかも…」「染色体検査(羊水穿刺)をして治療方針を立てるために致死的なものかどうか調べましょう。検査自体が胎児に負担をかけ、緊急帝王切開になる可能性もあります。」
説明を聞いていると心配になることばかり。
不安に押しつぶされそうになりながらも、息子を助けたい一心で説明を聞き、検査を受けました。
羊水穿刺の翌日、何度もNST(ノンストレステスト)をして「赤ちゃんがしんどがっているから出します」と緊急帝王切開になりました。

32週1日で緊急帝王切開~出産。
翌日、サイトメガロウイルスが見つかる。

こうして2001年1月、32週1日で744gの男の子が生まれました。
「心臓は大丈夫」との言葉にホッとしました。
羊水過少からくる肺低形成のため、人工呼吸器の助けをかりていました。
出生翌日、息子の尿からサイトメガロウイルスが見つかり、「先天性サイトメガロウイルス感染症」だったと知らされました。
TORCH症候群の1つであること、症状として「難聴」があることは知っていました。
実際どのように成長していくのか、どんな治療法があるのか等々知りたくて、ネットで調べてみましたが、当時、その答えを見つけ出すことはできませんでした。
息子だけでなく、私の血液・尿、臍帯血、胎盤なども調べ、初感染ではなく私の中のサイトメガロウイルスが再活性化したことにより、息子がこのウイルスに感染したことがわかりました。
初感染ではなく再活性化したケースなので、先天性サイトメガロウイルス感染症としての症状はさほど強く出ませんでした。
肝障害や点状出血はありませんでした。
一時期、黄疸が強く光線療法を行っていた時もありますが、「超未熟児にはよくあることであり、母乳を飲んでいると黄疸も強く出やすい」とのことでサイトメガロウイルスが直接の原因ではないといわれていました。

医師は何もいいませんでしたが、「喘息発作を抑えるために大量のステロイドを使った→サイトメガロウイルスが再活性化→息子がサイトメガロウイルスに感染した」ということなのだろうと、理解しています。


挿管中のあっきぃー(1歳9か月)

肺低形成、慢性肺疾患、肺性心のため酸素持参で約8ヶ月に渡るNICU(GCU)での入院生活を終えました。その後も無気肺を繰り返し、4歳頃まで入退院を繰り返して人工呼吸器のお世話になりました。

脳内石灰化、小頭症、脳波異常、強いストレスがかかるとけいれんを起こす(小2から)、運動・精神発達遅滞(歩き始めたのは5歳)、難聴(出生時から検査を繰り返していましたが、検査所見が出たのは5歳から)その他、肺低形成、慢性肺疾患、肺性心→慢性呼吸不全(在宅酸素療法中)、漏斗胸、側わん、弱視(小2から眼鏡使用)、低身長、摂食障害(食事の他に、エンシュアリキッドHでカロリーを補っています)、構音障害などがあり、身障手帳…肢体不自由、内部障害(呼吸器)、療育手帳を持っています。


川口式nasal-cpap中のあっきぃー(2歳5か月)


酸素カニューレ巻き巻きあっきぃー(2歳6か月)…当時寝返りしかできませんでした。


トイレトレーニング?(3歳3か月)

ホームページを開設し、情報交換を始める。

超未熟児の成長記録がほとんど公開されていなくて、どのように育っていくか不安だったこと、肺低形成については生存例が紹介されていた方がいらっしゃらなかったこと、「あっきぃーがここに生きているよ~」ということを発信したくて本家サイト「あっきぃーはうす」をスタートしました。
公開してから早9年になります。
当時でもわかっていた、サイトメガロウイルスに対する「免疫」を持っている人が少なくなってきていることを伝えたかったということもありました。

妊娠中に初めてこのウイルスに感染する(まれに再活性化した場合にも)と、胎児の脳、耳、肝臓などに影響を及ぼしたり、発育が遅れたりすることがあります。
微力ながら、あっきぃーはうすで先天性サイトメガロウイルス感染症についても取り上げてきました。増えてきたとはいえ症例が少なく、通院している病院で同病の方にお会いすることはほとんどないため、メーリングリスト(「せん☆さいML…先天性サイトメガロウイルス感染症メーリングリスト」2012.5.10で終了)を運営して、情報交換をしてきました。
胎内治療や、出生後にガンシクロビルによる治療を受けられた方、人工内耳の手術をされた方がいらっしゃることも情報交換の中で知りました。


高熱で休日診察待ち
(8歳8か月)

息子が生まれて11年が経ちましたが、未だに妊婦健診にサイトメガロウイルスの抗体検査を含めている産科施設はほとんどありません。ワクチンもありません。

現在もサイトメガロウイルスの抗体を持たない方が増えており、最近になってようやくメディアでも取り上げられるようになりました。
出生後、新生児の尿で、CMVの感染のスクリーニング検査することもできます(一部の医療機関に限られていますが)。
早いうちに感染していることがわかり、生後1か月までに治療を行えば症状を軽くすることができる症例もあります。
しかし、息子のように小さく生まれた場合は、その治療の対象にさえ、なれません。

息子を助けるために、医療スタッフをはじめ、家族も協力してくれました。できる限りのことをしてきたつもりですが、「どうしようもなかった」と思う半面、何か方法はなかったのかと悔やまれてなりません。

息子の病気で、家族の人生がかなり変わりました。


酸素しながらサイクリング
(8歳0か月)

息子の介護、通院などで夫婦共働きはできなくなりました。
家族旅行もこれといって出かけたことはありません。
低体重児は免疫力が普通より弱いので、感染予防のため、4歳頃までは通院時以外は自宅にいました。リハビリや療育相談など訪問していただいていました。今では運動前後に酸素を使う程度ですが、車が来ていても突然走り出したり、転んだり…。目が離せません。
こだわりの強すぎる息子のために、義父母にも負担をかけていますし、娘たち(息子からいうと妹たち)にもつらい思いや我慢をさせてしまっているかもしれません。

産科医・小児科医だけでなく、せめて医療スタッフの方にはサイトメガロウイルスやトキソプラズマ感染症についてもっと知ってほしいし、妊婦健診に抗体検査を取り入れ、母親学級などでこれらの感染症についても取り上げて、助産師、保健師からも多くの方に知識を広めていっていただきたいと思います。

妊婦健診でのサイトメガロウイルス・トキソプラズマ抗体検査が助成の対象になり、治療薬の認可もされ、少しでも負担が軽減できる日がくるよう、先天性トキソプラズマ&CMV感染症患者会「トーチの会」の方々をはじめ、みなさまと共に取り組んでいきたいと思っています。

どうか、母子感染症(サイトメガロウイルス感染症、トキソプラズマ感染症など)にかかる方が一人でも減りますように…。
母子感染症にかかってしまったとしても、一人でも多くの方が助かりますように…。
症状を少しでも軽くすることができますように…。

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