(2)どんな猫が危険なの?

あなたがトキソプラズマに感染したことがないとしても、すべての猫があなたにとって危険なわけではありません。 猫の糞の中にトキソプラズマを排出するのは原則として猫がトキソプラズマに初めて感染したときだけです。

この場合は感染の3-24日後に虫体の排泄が始まり10日程度にわたって排出が続きます。
その後、再び虫体を排出することは通常ありません(注3)
ですから既にトキソプラズマに感染し、虫体の排出を終えた猫については基本的に安全なわけです。

逆に言うと、危険なのはトキソプラズマにまだ感染していない猫ということになります。
このような猫はいつトキソプラズマに感染し、虫体を排出し始めるか予想がつきません。
それは今日かもしれないし、明日かもしれないのです。
ときどき「普通に飼っていればほとんどの猫は子猫の間に既に感染している。大人の猫についてはほとんど問題ない」という意見を聞きますが、 少なくとも日本について言えばこの意見は間違いです。
北海道から沖縄まで1000匹以上の猫を調査した結果が2003年に報告されていますが、 トキソプラズマに感染したことのある猫は10%程度しかいませんでした。

  • 既にトキソプラズマに感染した猫についてはまず心配ない(注4)
  • トキソプラズマに感染したことのない猫との付き合いには注意が必要。

危険な猫とは?図解

 

(注3・注4)「通常ありません」「まず心配ない」など、あいまいな記述なので心配に思われた読者もいらっしゃることと思います。
実は、猫が重度の免疫不全に陥るなど体調を大きく崩した場合、ごくまれに2度目・3度目の虫体排出があるのではないかと考える研究者がいます。 確率としてはきわめて低く、実際に問題となった事例があるわけではないのですが「心配ない」と断言しきれない理由がここにあります。 したがって猫の感染歴にかかわらず、念のためすべての猫について「何に気をつけて生活すればよいのか」の項目にある注意事項を守って生活できれば、それに越したことはありません。

ウチの猫、動物病院で検査したほうがいいの?

妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条

11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。

妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条 イラスト

\ NEW / 印刷して見える所に貼ろう! 11か条イラスト版PDF

11か条イラスト+解説(PDF)