数ある母子感染症の中でも、先天性トキソプラズマ症と先天性サイトメガロウイルス感染症は、近年、患者数が増えて来ています。

しかし、その危険性に気付いている医師は決して多くありません。

これらの先天性感染児は、重大な聴力障害や視力障害や発達障害が生まれた後からも進行していくことがありますが、通常の診察だけでは異常に気付けない症例が多いため見落としも多く、『非常に稀な』『珍しい』病気と認識されていることが問題を生んでいます。

産科では、妊婦に抗体検査を奨める施設は少なく、また子宮内胎児発育遅滞など胎児の異常所見を認めても、感染症を強く疑わない医師も少なくないようです。
抗体検査と同時に妊婦教育をすることで感染を防いだり、早期発見・早期対応で重症化を減らしたりすることができるはずです。

小児科でも、生まれた時に典型的な症状を呈している患児でない限り見落としやすく、症状が進行してから気付くことも多々あり、対応の遅れが症状の悪化を招きます。
新生児期のスクリーニングがルーチンに行われれば、こういったことは減るはずです。

また、眼科や耳鼻科において、原因不明の網脈絡膜炎や難聴の一部は先天性感染症が原因であるのに、それに気付く医師が少なく、特異的な治療を施すことができないままである事も少なくありません。

以上の様な事を少しでも減らすためには、母子の健康に関わる多くの医療関係者が新たな知見に関する情報を得る機会を持ち、意識改革をしていく中で、先天性感染の実態とそのインパクトを理解する必要があります。

防ぐことができる、または、軽くすることができる障がいで苦しむ子どもがこれ以上増えることがないように ― その切なる思いをどうか受け止めて下さい。

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監修:長崎大学 森内浩幸

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