たぁたんさんの体験談

風疹は、防ぐことが出来ます。
どうか、ワクチンを打って、赤ちゃんの命を守ってあげてください。

体験談寄稿 NO.18 たぁたんさん

2013/06/07 追加

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Data

    • 2012年生まれ
    • 出産後先天性風疹症候群と診断
      血小板減少症、脳室拡大、脳一部石灰化、動脈管開存症、角膜混濁
    • 現在は角膜の濁りはなくなり、右耳難聴の可能性

STORY

自覚していた「風疹の抗体がない」という事実と、勘違い

上の子を妊娠中、風疹の抗体価が低いと言われ、出産後ワクチンを打った方がいいと言われていました。
しかし、出産後は完全母乳で、授乳中は打てないものだと思い込んでいたのと、内科や小児科、どこに行っても子供向けのワクチンのポスターは見かけても、大人向けの風疹のワクチン接種のポスターは見かけず、こちらから接種希望を言い出しても断られるのではないかと恐くて言いだせず、結局打てないまま 第2子となる葉七を身籠りました。

第二子妊娠の喜びもつかの間、問題発生

葉七を妊娠しているのが分かったのは3週目とかなり早い時期でした。それから6週目にやっと心拍が確認できました。初めての妊娠(上の子の前)が子宮内胎児死亡で、11週でさよならをしてしまった経験があったので、心拍が確認出来た時には内診台の上で半泣きになったほど嬉しかったです。

上の子の時に切迫流産・切迫早産になったので、また迷惑をかけることになるかもしれないと、7週に入ってすぐ仕事場に妊娠を報告しました。
しかし、その週の木曜日に異変が…。

悪寒、倦怠感、肌荒れ…ただの疲れだと思っていたのに

仕事中に寒気がして、なんだか身体もダルい…。
「何かちょっとしんどいんです。」と周囲に言うと、「いつもとお肌(顔)の感じが違うよ。何て言うか、張りがない感じ。」と言われました。
確かに、荒れているというか、くすんでいるといった感じ。
でも、「妊娠によるホルモンバランスの崩れだろう。しんどいのも、仕事が忙しかったからだろう。」と思い、その日は定時まで働きました。
この時、首の後ろにグリグリしたものが出来ていたのですが、主人に言ってみると、「脂肪の塊なんじゃない?」と言われ、そういうものなのかな?と気にはなりつつも様子をみていました。

翌日の金曜日はたまたま休みでした。
区役所に母子手帳を貰いに行き、それから美容院へ行きました。 「顔の発疹はなんだろう?首まで出てきたんよねー。」なんて話していました。 この時、鏡に映った自分の顔が明らかにしんどそうで、体も凄くダルくて重かったのですが、それでもまだ仕事の疲れと、妊娠によるホルモンバランスの崩れだと思い込んでいました。

上の子を実家に預けていたので迎えに行くと、母や妹からも顔と首の発疹を指摘され、皮膚科に行けば良かったのに…と言われました。
そして、なんとなく腕をみたら、腕にも発疹が…!!

風疹かもしれないという恐怖

この時に初めて「風疹かも…!?」と気付き、ネットで風疹の人の画像を調べました。
すると、そこには今自分に出ているのと同じような発疹が。
サーっと血の気が引いていくのが分かりました。
とにかく大変だ!と思い、母に夜間救急に連れていってもらいました。
受付で検温をするように言われて計りましたが37.3℃くらいで、特に高熱という訳ではありませんでした。
しばらく待っていると、看護師さんがやってきて、
「ここには風疹かどうかを調べるキットがないから、先生に診てもらっても風疹かどうかの診断は出来ないんです。先生に診てもらった時点でお金がかかってしまうから、今日は帰った方がいいんじゃないかなと思うの。」
と言われました。
「妊娠しているので、診てもらいたいんですが。」
と言ったら、看護師さんが
「私がかかった時、熱が高くて、もう本当に死にそうだったのよ!今熱ないし 顔の発疹も吹き出物のような気がするなぁ…。明日、内科と皮膚科、産婦人科がある総合病院に行った方がいいよ。」
と言われて、その日は帰ることにしました。
『とにかく熱が出なければ、風疹じゃないんや!!』と当時は誤解していたのですが、結局翌朝検温をしてみると、37.8℃!!の発熱。

急いで産婦人科へ電話して、受診しました。

風疹、確定診断

電話口では、風疹かも…と言ってもなぜか相手にされはしませんでしたが、受診すると、頸部のリンパ節の腫れや発疹から 風疹かも知れないと言われ、血液検査をしました。
後日、結果を聞きに行くと陰性でしたが、検査時期が早過ぎたのかもと、もう一度採血をし、すると、そちらは「陽性」。
同じ時に内科でも咽頭拭い液からの検査を行い、環保研から陽性との報告を受けました。

産むなんてとんでもない!私があなたの旦那なら、絶対に産ませない!

陽性との結果を聞いた時、産婦人科からは 『風疹に罹患した場合、胎児に目・耳・心臓に障害が出る。7週目でかかってしまった貴方の場合、その障害が出る確率は80%』
と言われました。
「それって、ハイリスクになるんですか?」
と、何気なく質問すると、
『ハイリスク以外の何物でもない!』『産むなんてとんでもない!!私が貴方の旦那なら、絶対に産ませない!!』
と言われ、その次の診察に主人と二人で行き 、
「産みます。」
と、伝えると、あきれた顔をされて
『違う病院に行け』
と言われました。

産婦人科を変わり、上の子を産んだ総合病院に行きましたが、結局そこでもNICUがないからとまた転院が決まり、最終的に28週で兵庫県立こども病院に移りました。

こども病院にかかるまでには、相談施設である 大阪の府立母子センターにもお世話になりました。
この府立母子センターの先生に初めて前向きな言葉をかけてもらい、産んでも良いんだという気持ちになりました。

胎児発育遅滞、先天性風疹症候群(CRS)疑いという診断

こども病院に初めて受診した時点で『胎児発育遅滞・CRS疑い』と診断、切迫早産気味なこともあり、入院することになりました。

入院中はあまり変化はなく、切迫症状も落ち着いていたことから、32週の時に 「赤ちゃんは小さいけれど 日が経てばその分だけちゃんと大きくなっているから大丈夫。一回退院しますか?」 と言われました。
でも、出産時に何が起こるか分からないと言われ続けていた私は、 退院が怖くて入院継続を希望しました。

緊急帝王切開での出産、小さいけれどしっかりした赤ちゃんとの対面

その10日後の34週4日、朝のNST時に胎動が感じられなくなりました。
夕方にかけて合計4回エコーも受けましたが、胎動・呼吸様運動が見られず、頭の血流も早いことから 赤ちゃんが貧血になっている可能性があると言われました。
この時34週。推定体重は1600gでした。
34週までもったから、赤ちゃんの身体の機能としては問題ないハズ、これ以上お腹に置いておく意味もないということで、緊急帝王切開が決まりました。

手術が決まってから約1時間後、手術が始まってから10分後の18時10分、葉七誕生。
手術が始まったら直ぐに赤ちゃんが出てくるものだと思っていたので、この10分はすごく長く極度の緊張の中『早く…早く…。』と思っていたら、頭の上にいた麻酔科の女医さんが、「今出てきましたよ!」と教えてくれたと同時に、産声が聞こえました。

もしかすると、産声は聞けないかも…と思っていたので、聞こえた瞬間に緊張が溶けて涙がたくさん溢れてきました。
しばらくして対面できた赤ちゃんは、1582g 42cmという、小さな小さな赤ちゃんでした。
でも、その時の私は、「思っていたよりしっかりした形をしているなぁ。」と思ったものでした。
『人間の形相じゃない子が産まれる』と言われた時から、「エコーで大丈夫だと言われても 産まれてみたらどこかにやはり何かがあるのではないか」と思っていたので、『普通』だったことが 逆に不思議で、小さいということはあまり気になりませんでした。

CRSの確定診断、自責の涙

それから1週間の内に、CTやMRI、レントゲンなどなど、 様々な検査が始まりました。

尿検査と、咽頭拭い液から風疹のウイルスが出たので、CRS(先天性風疹症候群)が確定しました。
また、血小板減少症、脳室拡大、脳一部石灰化、動脈管開存症、角膜混濁など、次々と容態が分かり、発達障害が出る可能性があると告げられました。
現実が急に目の前になり、自分の病室に帰り「可哀想なことをしてしまった…。」と声を殺して泣きました。
それでも、面会に行く度、葉七は元気で逆に私が励まされている様でした。
3日程で保育器から出、ミルクもチューブから入れると『口で飲みたいー!』と泣くようになり、すぐに哺乳瓶に。私が退院するまでに直母もあげられるようになりました。
私は先に退院し、葉七は予定日を目標に入院することになっていましたが、特に治療もないとの事で急に退院が決まり 、産まれてちょうど1か月後に退院しました。

結局、胎動が無くなった原因は不明でしたが、臍帯炎や、羊水が少なかったのも原因かもしれません。医師から言われたことではありませんが、その原因は風疹ウイルスだと思います。(※先天性感染による症状の一つに低体重、早産があります)

現在の様子

退院してからは、1か月に1回程度、経過観察の為に通院をしています。
角膜の濁りと、心臓の動脈管開存症は自然治癒しました。
今分かっているのは、右耳の高音が聞こえにくいかもしれないということだけです。

8ヶ月を前に、約5100グラムしかありませんが、元気に育っています。
小さいのにちゃんと首も据わり、縦抱きをされている姿は何とも可愛いです。

あの時、もし出産を諦めていたら、目の前にこの子は居ないんだな…と思うと、何とも言えない愛おしさを感じます。


生後2ヶ月で退院。すぐ甘えん坊になりました。(まだ右目だけ濁っています)

「ワクチンさえ接種していれば…」後悔しきれない思い

でも、もしワクチンをきちんと接種していれば諦めることなんて、これっぽっちも考えなくて良かったのです。

また、葉七に入院や検査など、ツライ思いもさせなくて良かったのです。

全ては私がたったひとこと「ここで風疹のワクチン打てますか?」って言い出せなかった事から始まりました。
無用な心配はして欲しくありません。
幸せな妊娠中に、最悪な『堕胎』なんて考えて欲しくありません。

当事者として、伝えたいこと「風疹は防げる」

風疹は、防ぐことが出来ます。
どうか、ワクチンを打って、赤ちゃんの命を守ってあげてください。

そして、医療従事者の方。 我が家のケースのように、軽度のCRSの症例があることも知って下さい。
堕胎だけでなく、出産も選択肢に入れて欲しいです。

また、私のように、ワクチンを打ちたくても言い出せない患者が居るということも分かって欲しいです。

産婦人科医の方、退院までに抗体のない方にワクチン接種をする環境にして欲しいです。
小児科医の方、MRを打ちに来た子のお母さんに「一緒に打とうか?」と訊ねてみて下さい。
母子手帳を作っている市町村の方、風疹に限らず、検査結果を書き込めるようにし、抗体の有無が後からわかるようにして下さい。
国、行政の方。皆が公平に接種出来るように助成をお願いします。

どうか… 風疹で亡くなる命がゼロになりますように。

 


6カ月、大好きなお兄ちゃんと。
お腹に居たときも入院中も、お兄ちゃんの声には必ず反応していました。

成長・疾患の記録

2012年生まれ 帝王切開で出産
0歳 先天性風疹症候群と診断
血小板減少症、脳室拡大、脳一部石灰化、動脈管開存症、角膜混濁
1ヶ月 退院
8カ月 1か月に1回程度、経過観察の為に通院
角膜の濁りと、心臓の動脈管開存症は自然治癒
右耳の高音が聞こえにくいかもしれない

2013/06/07

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