みかさんの体験談

妊娠中、せっかく検査をしていたのに、産婦人科の先生は、なぜ大丈夫とおっしゃったのだろう。
私に知識があれば、IgMとIgGの値を出す検査もしてもらえたのに…

体験談寄稿 NO.19 みかさん

2013/07/06 追加

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Data

    • 2012年生まれ
    • 出生時、早産、血小板減少などの症状。
    • 出生後4ヶ月、先天性サイトメガロウイルス感染症と診断、治療開始。
    • 現在、両側高度難聴あり。

STORY

予定日より2ヶ月も早い出産

平成24年8月。
予定日より2ヶ月早く、極低体重出生児で娘は生まれました。
明け方から腹痛があり、通院していた産婦人科を受診したところ、すでに子宮口が全開になっているというのです。

NICUのある総合病院に救急車で搬送され、自然分娩で出産。あっという間でした。
翌日、私はNICUに入院した我が子と対面しました。
保育器の中で、点滴や呼吸器が付けられた小さな小さな娘…。
泣くまいと思っても、次から次へと涙が溢れ、止まりませんでした。
抱っこしてあげることはできず、保育器の窓から手を入れて小さな背中をなでてあげることしかできませんでした。

主治医の先生から、娘には新生児一過性多呼吸、黄疸、動脈管開存、血小板減少などの症状があるとの説明を受け、治療を開始しました。
幸い、治療によって症状は改善し、10月下旬ころから退院のお話がでるようになりました。
待ちに待った退院。
やっと娘と暮らすことができる。
私は、喜びでいっぱいでした。

2ヶ月の入院後、退院間近で聴力検査での異常発見

そんな時、主治医の先生から、聴力検査(AABR)が二回ともパスできず、医大病院での精密検査が必要であると告げられました。
さらに、先生は「念のため、サイトメガロウイルスの検査をしましょう。
サイトメガロウイルスに胎内で感染していると、難聴になる場合があるので…」とおっしゃったのです。

サイトメガロウイルス?
胎内感染?
そんなはずはない。
検査をして、抗体があると言われたもの…

妊婦健診でのサイトメガロウイルス抗体検査の記憶

私は妊娠中のことを思い出しました。

妊娠4ヶ月の時、通っていた産婦人科で血液検査をしました。
検査項目の中に、サイトメガロウイルスもトキソプラズマも入っており、自費での検査でした。

先生から、「サイトメガロウイルスって、聞いたことがないかもしれないけれど…。
あなたには抗体があるから大丈夫です。」と検査結果を説明されました。

私は、「サイトメガロウイルス?聞いたことがないなぁ。でも、抗体があるなら、大丈夫なんだな。
良かった。」と思いました。

娘の主治医の先生にその旨を話すと、産婦人科での検査方法では妊娠前から抗体があったのかという事実は分からず、最近(つまり妊娠中に)、感染して数値が上がっていた可能性があるというのです。

私の当時の検査結果は、CF法で16倍。
陽性反応でした。

(※通常であれば初めの抗体検査で陽性だった場合は、妊娠中の初感染かどうかの確認をする必要があります。詳細は抗体検査で今感染しているのか、以前に感染していたのかがわかりますか?をお読みください。)

精密検査により、娘の高度難聴が発覚・確定

待ちわびた退院でしたが、娘は難聴かもしれない、原因は私が妊娠中サイトメガロウイルスに感染したからかもしれない…と思うと、全く喜ぶことができず、不安でいっぱいでした。

11月下旬、医大病院での精密検査(ABR、ASSR)の結果、娘は両耳とも高度難聴であることが分かりました。

私の声が聞こえていないなんて…
娘を抱き締めて、何度も何度も「ママだよ。」と呼びかけました。
声を上げて泣いてしまいました。

先天性サイトメガロウイルス感染症の確定診断

ますますサイトメガロウイルス感染症の疑いが強くなり、詳しく調べるため、へその緒を提出しました。
しかし、検査結果が出るのは2~3ヶ月かかるとのことでした。
へその緒の結果を待っていては、それだけ治療を行うのも遅れてしまいます。

12月初め、主治医の先生は、

・娘の尿と血液からウイルスが出ていること
・私の血液検査(IgG、IgM)から、まだ抗体ができていない状況であること
・早産、血小板減少、難聴などの症状が出たこと

などを総合的に判断して、先天性サイトメガロウイルス感染症に間違いないと診断しました。

抗ウイルス薬の投薬治療の開始

先生から、抗ウイルス薬(バリキサ錠)による治療の説明を受けました。
副作用の心配もありましたが、「もう後悔したくない」という思いから、夫と相談して治療を決断したのです。
娘の主治医の先生には、早期に対応していただき、本当に感謝しています。

知識のない産科医師への疑問と、自分を責める日々

妊娠中、せっかく検査をしていたのに、どうして見落とされたのだろう。
産婦人科の先生は、なぜ大丈夫とおっしゃったのだろう。
私に知識があれば、IgMとIgGの値を出す検査もしてもらえたのに…
感染していると分かっていれば、大きな病院でよく検査してもらって、少しでも長くお腹の中で育てられたかもしれない。
治療も早くできたかもしれない。
そもそも、なぜ感染したの?
小さな子どもと接触する機会なんてなかったのに…
私は、たくさん後悔していました。
後悔しても、もはやどうしようもありませんでしたが、自分を責めずにはいられませんでした。

現在の娘の状況

12月中旬から6週間の投薬を終え、現在は経過観察中です。
幸い、ほとんど副作用が出ずにウイルス量が減少し、再投薬は行っていません。
今のところ、脳や目などには異常はありません。
娘は、風邪一つひかずに、すくすくと元気に成長しています。
たくさん笑ったり、泣いたり、表情豊かで本当にかわいいです。
難聴については、補聴器を合わせて療育を行っています。

妊婦自身が正しい知識を持ち、
医師が早期発見・早期治療を施せるようになってほしい

自分の体験を通して、トーチ症候群に関する正しい知識、予防、早期発見、早期治療が大切であると実感しています。
ただ、私の場合、サイトメガロウイルスの知識があっても、感染または再活性化を防ぐことができたかどうか分からないというのが本音です。
妊娠初期、ちょうどインフルエンザや風邪が流行っている時期でしたので、手洗い、うがい、マスク着用など、予防に努めていたのに感染したのですから。
強いて言えば、仕事が忙しくて無理をしていたため、免疫力が落ちていたのが、感染した理由かもしれません。
しかし、働く女性なら、妊娠中であっても、多少無理をしてしまうと思います。
予防に努めても感染することもあり得ます。
でも、万が一、先天性サイトメガロウイルス感染症の赤ちゃんが生まれてきても、早期に発見し早期に適切な治療を行えれば、症状を悪化させずに済みます。

母親への早期フォローの必要性

また、私もそうでしたが、母子感染症であるという事実のせいで、母親は必要以上に自分自身を責め続けるのです。
もし病気の発見が遅れ、早期に治療を施してあげられなかったとなれば、自分を責める気持ちはさらに深まっていき、心身ともに、疲れはててしまいます。
母親が一日も早く笑顔で赤ちゃんに接することができるよう、家族や医療関係者の方々には十分配慮していただきたいと思います。

母親が孤立しないために

私は、同じような悩みを抱えるママさん達とこの患者会やインターネットを通じて知りうことができ、たくさん勇気をもらいました。
おかげで前向きな気持ち、笑顔を取り戻すことができました。 病気に対する情報が少なく一人で悩んでいるママさんに、患者会の存在を知ってもらいたいです。
これから、私は娘の病気と向き合いながら、患者会の皆さんとともに頑張っていきたいと思っています。

社会に求める事

同じようなことを繰り返さないためには、一刻も早く、母子感染症の検査・治療体制の整備や医療従事者たちの認識を上げる必要があります。
国や行政機関、小児科、産婦人科等関係者の皆様には、早急に動いていただきたいと願わずにはいられません。

成長・疾患の記録

平成24年2月 妊娠判明
同年4月 血液検査 サイトメガロウイルスCF法で16倍
同年8月 予定日より2ヶ月早く出産
同年10月下旬(2ヶ月) 聴力検査で精密検査が必要に         
サイトメガロウイルス感染症の検査開始
同年11月中旬(3ヶ月) 両耳高度難聴と判明
同年12月中旬(4ヶ月) 抗ウイルス薬による治療開始
平成25年1月下旬 治療終了

2013/07/06

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