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なぉママさんの体験談

保育園入園直前に先天性サイトメガロウイルス感染症との診断がついたことで、状況が変わってしまいました。
娘を一度も見たこともない保育園の本部から入園を拒否されたのです。

体験談寄稿 NO.23 なぉママさん

2015/05/08 更新

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Data

  • 2012年12月生まれ
  • 先天性サイトメガロウイルス感染症

STORY

順調な妊娠期、出産

2010年に第一子の長女を出産し、2012年1月に待望の第二子を授かりました。
経過も順調で大きなトラブルもなく12月に無事次女を出産しました。二人目ということもありお産も軽く、すべてが順調にいくと思っていました。

ひっかかった聴覚スクリーニング

出産した産院では希望者にOAEを施行していました。私は長女の時にOAEを施行していたため、特に大きな理由もなく次女にも検査を行うことにしていました。
生後2日目に行われたOAEの結果は両耳ともリファー。
少し不安に思いましたが、耳に羊水が残っているのだろうと言われ、その時はそこまで重大なことだとは思っていませんでした。しかし、退院日まで何回検査をしても結果は同じでした。

3か月、両耳が難聴であることが発覚

産後、里帰りをした都合で1か月健診を2か月になってから受けました。その時にOAEをしても結果はリファー。さすがに不安になった私に、産科の医師は「OAEは簡易検査だから、耳鼻科でちゃんとした検査をしたら意外と大丈夫なケースが多いよ。」と大学病院の耳鼻咽喉科を紹介してくれました。
そして、3か月になる頃OAE・ABR・ASSRを受けました。
結果は、右耳が重度の難聴、左耳が軽度の難聴というものでした。
恐る恐る、成長に伴って聴力が良くなったりするのかと尋ねた私に、耳鼻科の医師は「それはないですね。」とひとことで終了。あまりにも軽く、簡単に娘の難聴の診断を告げられ、衝撃と怒りを覚えましたが、まだ完全に聞こえていないわけではないこと、くよくよしても娘に不安を与えるだけだと思い、これはこの子の個性なんだ!と自分に言い聞かせていました。

発達の遅れを指摘された4か月健診

しかし、町の4か月健診の時、診察に来ていた同じ大学病院の小児科の医師に難聴であることを伝えると、首のすわりが遅いことを指摘しながら「早めに頭の検査をしたほうが良い。」と言われました。
その時は、耳鼻科の医師は何も言っていなかったし、これ以上何か悪いものが見つかったらどうしたらいいのだろうという不安と恐ろしさから、すぐに検査をする気にはなれませんでした。

5か月、先天性サイトメガロウイルス感染症の診断

しかし、熱心に検査を進められ、五か月を目前にした時にようやく頭部のCT検査を受けました。CTを撮った翌日、病院から電話がありました。
「昨日の検査の結果ですぐにお話をしたいことがあります。今から旦那さんと一緒に病院に来られますか。」という内容でした。
直感的に、やはり何か良くないことが起こっているということを知り、不安で押しつぶされそうになりながら夫は仕事で留守だったため一人娘を抱えて病院に向かいました。
病院では医師がCTの画像を示しながら丁寧に説明をしてくれました。

「脳内に石灰化があります。また、脳室の拡大も見られます。
原因として、TORCH症候群や結節性硬化症などがありますが、難聴のことも考えるとTORCH症候群の中のサイトメガロウイルス感染症ではないかと思っています。
四か月検診の時に高口蓋があったのも気になっていました。難聴や高口蓋、脳内の石灰化、脳室の拡大、発達遅延はサイトメガロウイルス感染症の症状とも合致します。

「おなかの中にいた我が子を守ってあげられなかった」

私は、妊娠中、それも妊娠4か月のころひどく風邪を引いたのを思い出しました。珍しく熱が出てリンパ節が腫れ、身体がだるく咳も出て声が嗄れるほどでした。
あれが恐らくサイトメガロウイルスによるものだったのだろうと言うことでした。
原因がはっきりしてホッとした反面、母子感染症という現実に打ちのめされ、たった10か月間おなかの中にいた我が子を守ってあげられなかった自分の情けなさ、無能さ、愚かさを思い知り、また、なぜこのようなことになってしまったのかという思いが頭の中をグルグル回っていました。

家族の決断

医師からは、「サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス薬はあるが、先天性であった場合の投与基準は生後30日以内であること、
また、現時点では自費で抗ウイルス薬を投与することも可能ではあるが高額であることと有効性が証明されておらず、副作用により免疫力が下がり、他の重篤な感染症に罹患する可能性が高くなる恐れがあること、
またその場合、そのことで命を落とす危険もあるため、お勧めしない」との説明がありました。
私は夫とも相談し、抗ウイルス薬の投与はせず、症状を見守りながらできるだけのことをしようということにしました。

自責と後悔「長女の食べ残しを食べていた…なぜ誰も教えてくれなかったのか…」

そしてインターネットで検索しているうちに、トーチの会のHPを見つけ、同じように先天性サイトメガロウイルス感染症と診断されても元気に暮らす人もいることを知り、とても勇気づけられました。
それと同時に、今はサイトメガロウイルスの抗体を持たない人が増えていること、第二子以降の妊娠時に罹患することが多いこと、ワクチンがないこと、妊婦健診時の感染症の採血項目にも入っていない場合がほとんどであること、接触感染しかしないことなど、多くのことを学びました。
それを読んで、私には心当たりがありました。
長女の食べ残しを食べていたこと、気づかないうちにコップの共有をしていた可能性があること、手洗いが不十分であったこと。
私のこんなささいと思っていたことによって、大切な娘の身体に取り返しのつかない障害を与え、夫をはじめ、長女や両親の人生さえ左右してしまったことを思い知りました。
それと同時に、なぜ予防法があるのに教えてくれなかったのか、注意喚起をしてくれなかったのかという思いも湧き上がってきました。しかし、どれだけ後悔しても、悔やんでも、自分を責めても、もうやり直すことができないこの現実を受け入れるのに診断を受けてから一年かかりました。

無理解な社会、誤解、差別、隔離

同時期に、復職のため保育園の入園希望を出していました。当初から難聴は判明していたため保育園に伝えたうえで入園の許可が下りていました。
しかし、入園直前に先天性サイトメガロウイルス感染症との診断がついたことで、状況が変わってしまいました。
娘を一度も見たこともない保育園の本部から入園を拒否されたのです。
それは入園2日前でした。
いったいどういった経緯で入園できなくなったのか説明を求めても、担当者は書面を見ながら、安全な保育が難しいとの返答しかありませんでした。
小児科と感染症科の医師が、先天性サイトメガロウイルス感染症の概要や症状を詳しく話したうえで、「他の子ども達と接触させても問題がないこと、感染対策は通常の手洗いで十分であること」を説明してくださいましたが、返答は変わりませんでした。

4か所の保育園に入園拒否され…

仕方なく、復職の予定を急遽変更し、保育園を探すことになりました。小児科医に記載してもらった診断書を手に保育園の見学を続けましたが、病児保育・障害児も受け入れると謳っている保育園にも同様の理由で断られ続けました。結局、4か所の保育園に入園拒否をされました。
町立の保育所は障害児の受け入れを拒否できないため、前向きに対応してもらえましたが、保育士不足・定員がいっぱいであるという理由で6か月間入所できませんでした。
私の職場では1歳の誕生日の前日までしか育児休業が認められていないため、一時保育を利用して何とか1歳の誕生日から復職しました。その間も正式入所に向けて、いろいろと話をしていきましたが、翌年の4月からの入所も保育士が不足しており加配の保育士が確保できないこと・定員がいっぱいであることを理由に入所できず、保育士不足で一時保育もできないとのこととなり、正式入所か一時保育が再開できるまで実家に娘を預けながら仕事を続けました。
また、障害があり入所を希望している方の中には娘より点数の高い子がいたため、まったく入所のめどが立たないという状況でした。医師からも保育所に通い、同年齢の子ども達と接することが良い刺激となり発達も促されるとの助言もあり、何とか早く入所できないかと毎月役場に通い状況を確認し続けた結果、6月から一時保育・7月から正式入所をすることができました。

患者会パンフレット、医師の診断書、保健師による勉強会…保育園から一年越しで勝ち取った「理解」

その際、啓発のために娘の病気や障害について他の保護者の方にも知ってもらいたいと考え、患者会のパンフレットを印刷して持参し、配っていただきたい旨を伝えました。
保育所では、医師の診断書の抜粋「サイトメガロウイルスは排泄し続けていますが、隔離の必要はありません。またオムツ交換などの際は通常の手洗いで十分です。また同年代の乳幼児との接触に関しても特別な配慮は必要ありません。」を入れて感染予防法を記載したお便りを作成し、一緒に配布していただきました。
また、お便りやパンフレットを見た保護者の方から専門家の意見が聞きたいとの申し出があったため、保健師にサイトメガロウイルスについての勉強会を開いていただき、理解していただきました。

子どもたちと遊ばせてもらえない…続く保育園の無理解

しかし、他の保護者の方への配慮という名目で、同じ部屋ではありますが、ロッカーは他の子ども達とは離れ一番端・遊ぶところも別・おもちゃも別・お昼寝も別・ご飯やおやつも別・お布団は袋に入れて保存し、毎日シーツと毛布を持ち帰り洗濯してくる・娘と接するときだけエプロンをつけるという対応をするとのことでした。
当初から特別な対応はいらないということを伝え続け、診断書まで書いていただき、保護者の方へのお便りにも特別な配慮・隔離は必要ないと記載したのにこんな対応をされるなんて大変不本意でした。
しかし、まず入所して保育士の方にも慣れていただいたところでもう一度対応を見直して頂いた方がいいのではと医師からアドバイスをいただいたこともあり、とりあえず、不必要な対応に対する抗議はせずに様子を見ることにしました。
何も特別な対応は必要なく、感染対策も通常の手洗いで十分ということを伝えておきながら、特別な対応をしているという状態は、他の保護者の方から見ればやはり隔離が必要なのだと誤解を招く状況でした。
そのため、次の進級のタイミングで再度対応を検討していただこうと考え、年度末に再度患者会のパンフレットを用いて説明し不要な対応を改めていただきたい旨を伝えたところ理解が得られ、晴れて4月から一般の子ども達と同様の対応をしていただけるようになりました。

2歳現在の状況

現在も、脳CTや脳波、眼底検査、聴力検査を繰り返し行ったり、発達を促すためのリハビリテーションを受けたりしています。幸いにもCT上新たな石灰化はなく、眼底に異常も見られていません。しかし、脳波では当初なかったてんかん波が現れ、聞こえていたはずの左耳の聴力が急激に低下し、両耳に補聴器を装用し始めました。そして2014年10月に右耳に人工内耳の手術を受け、少しずつ聞こえを取り戻すことができました。また、より一層の改善のため今後左耳にも人工内耳の手術を行う方向で検討しています。
発達はとてもゆっくりなペースではありますが、少しずつできることが増え2歳でようやく伝い歩きができるまでになりました。しかし、風邪をひきやすく、一度かかると肺炎とぜんそく発作をおこし入院が必要になる、IgAの値ががなかなか上がらないため定期的に採血をし、γ-グロブリンの補充療法を行う必要があるなど心配は尽きません。

まだまだ同じ年齢の子ども達と比べてしまえば言葉や発達の遅れは目立ってしまいますが、人一倍愛嬌があり、誰にでもニコニコ笑いかけて周囲を明るく笑顔にしてくれ、どんなにつらいとき、疲れているときでも癒しを与えてくれる優しい娘が大好きです。これからも娘のペースでのんびりゆっくり大きくなっていくのを見守っていきたいと思います。

社会、医療従事者への要望…啓発の徹底を!

私は、自分自身の体験を踏まえ、もうこのような母子感染症で苦しむ人が出ないように、市町村には母親学級での指導・母子手帳への予防法の記載、産婦人科には抗体がない妊婦・第二子以降の妊婦への予防法の指導、国にはワクチンの早期開発・妊娠初期の抗体検査時にサイトメガロウイルスを追加し義務付ける・OAEの義務化・医療従事者への指導の徹底を望みます。
そして、みんなが安心して妊娠・出産ができる社会を作っていってほしいと願っています。

成長・疾患の記録

2012年 1月 妊娠判明
12月 出産
2013年 3月 R)重度難聴・L)軽度難聴判明
5月 脳内石灰化・脳室拡大判明
6月 先天性サイトメガロウイルス感染症と診断される         
理学療法介入開始 
2014年 4月 L)難聴進行・両耳補聴器装用開始
9月 難聴に対する療育開始
10月 R)人工内耳挿入術施行
12月 脳波にててんかん波確認

2015/02/13 寄稿

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