妊婦がサイトメガロウイルスに感染すると胎児も必ず感染するのですか?

妊婦がCMVに感染したからと言っても必ずしも胎児に感染するわけではありません。
また、胎児にまでCMV感染が及んだとしても必ずしも胎児に障害が出るわけではありません。

日本では妊婦の約3割はCMVに感染した経験がなく、そのうち約1~2%が妊娠中にCMVに初感染してしまいます。初感染したら約3~5割が胎児にもCMV感染が及んでしまいます。

一方で妊娠前に感染したことがある約7割の妊婦であっても、CMVが再活性化(体内に潜んでいるウイルスが再び活動性を帯びる)や再感染(新たに他の人から感染する)することがあり、その場合1%弱の確率で胎児にもCMV感染が及んでしまいます。

その結果、出生児の300人に1人くらいの確率で先天性CMV感染児が生まれます。

 

そうして生まれた先天性CMV感染児のうち、約2割には生まれた時点で何らかの異常が見つかりますが、残りの約8割は生まれた時点では特に気になることはありません。しかしその後何らかの異常(遅発性難聴や発達の遅れなど)が1割強の児に見つかるようになりますので、合わせると先天性CMV感染児の約3割(すべての出生児1000人に1人くらい)に何らかのトラブルが生じることになります。

 

このように、妊婦が感染したからといって、必ずしも胎児が感染するわけではないし、胎児が感染しても必ずしも障害が出るわけではありません。

また、症状が出た赤ちゃんも2023年に保険適用となった抗ウイルス薬で早期に治療することにより、後遺症のリスクを下げることができると言われています。

ですから、すぐに「妊娠の継続をあきらめよう=中絶」と考える必要はありません。

自分がCMVに対する免疫を持っているかどうかは、どうすればわかりますか?

監修 長崎大学 森内浩幸

妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条

11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。

妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条 イラスト

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