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ハム子さんの体験談

「臍帯血の検査結果、お子さんは、先天性サイトメガロウイルス症候群です。」と告げられ、文献コピーを渡されましたが、特にそれ以上の説明もなく、聞きなれない病名に何も反応することもできませんでした。

体験談寄稿 NO.20 ハム子さん

2015/02/10 更新

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Data

  • 2008年生まれ
  • 先天性サイトメガロウイルス感染症

STORY

特に異常のなかった妊娠、出産…

妊娠中は2回ほど風邪をひいた記憶がある程度で、まだ幼い長男と過ごしつつも、順調でした。 30週ごろから検診のたびに産婦人科医師より「少し赤ちゃんが小さいかも」と言われましたが特に検査や指導もないままでした。

2人目な事もあり陣痛から約4時間の安産で、次男は誕生しました。
平成20年1月19日、3250gの元気な男の子で、出生時の検査にも異常は見られませんでした。

動かそうとしない左手、頻回の痙攣、全身脱力

生後3か月ごろには首も座り、目が合うと笑顔を見せるようになり順調な成長に見えました。 しかし、自分の手を眺めたり遊具に手を伸ばしたりし始めたころ、右手しか動かさない事に気が付きました。疑問を感じ、かかりつけ小児科で何度か相談したところ「左手もそのうち使うでしょ」「利き手でしょ」との返事でとくにとりあってはもらえませんでした。

そして、生後6か月ごろ、痙攣を起こし救急車のお世話になりました。大泣きしたことによるひきつけで、酸素が脳に回らなくなったせいだと説明されました。それまでにも大泣きしている時に突然泣き止むことがあったのですが、それはこの憤怒けいれんによるものだったのだとその時は納得しました。

離乳食の頃になると、機嫌よく食べている途中に、突然全身の力がガクッと抜けてしまい、 呼びかけにも無反応になることが、たびたび見られました。しばらくするとムクッと起き、 まるで何もなかったように食べ続けるのです。初めの頃は慌てましたが、 慣れてしまい、そういうものなのだと違和感もなくなってしまいました。

9か月検診~おすわりが不安定、不自然な動きの左手足

9か月検診で、おすわりが不安定で、哺乳瓶も持てない、左手足の動きが不自然である、などを指摘されました。気になることが多いのでかかりつけ小児科にこれらのことを伝えると、大学病院を受診するよう勧められました。

大学病院では脳波検査や脳のCT撮影をしましたが「異常なし」とされ原因は不明でした。 とは言え、生後9か月の月齢で利き手ではないとしても、左手足を使わないのは不自然とのことで、経過観察となり、月に1回大学病院に通院することになりました。

難聴の指摘から、先天性サイトメガロウイルス感染症という診断へ

1歳2か月のとき、大学病院の担当医が異動することになり、それをきっかけに区役所から紹介された総合療育センターを受診しました。

療育センターの判断で1歳8か月から、月2回OTを受けることになりました。

1歳9か月では発語の遅れが気になり、療育センターでABR検査を実施したところ、異常が見られ精密検査が必要であると説明され中央市民病院を紹介されました。

1歳10か月に、こども病院でMRI撮影を実施し、結果「右大脳皮質形成不全による左上下肢麻痺」と診断されました。MRIの結果を聞きに行った時、診察室内を不安定な歩行でウロウロする次男の様子を見て担当医が放った、「補助輪なしの自転車に乗るときにバランスをとるのが周囲より難しいかもしれませんが…次男ですよね、大丈夫。」という何の慰めにもならないデリカシーの欠片も感じさせない発言には、憤りを感じました。医師と親の温度差を感じた瞬間でした。

1歳11か月に、こども病院での結果を受けて療育センターの医師から、原因特定のために臍帯の検査をしないかという提案を受け、同意書を書きました。

「臍帯血の検査結果、サイトメガロウイルス抗体が陽性でした。お子さんは、先天性サイトメガロウイルス症候群です。」と告げられ、文献コピーを渡されましたが、特にそれ以上の説明もなく、聞きなれない病名に何も反応することもできませんでした。

帰宅後インターネットや図書館で調べてみても、難しい言葉で書かれた説明ばかりで、不安はつのるばかりでした。

同時期(1歳11か月)、中央市民病院で聴力精密検査を受け、そこではっきりと「右耳高度難聴」と診断されました。耳のCT撮影もしたのですが異常のない綺麗な画像だったため、右耳の聴力が出ない事に耳鼻科の担当医は首を傾げましたが、療育センターでうけた臍帯の検査結果が、サイトメガロウイルス抗体陽性であったことを伝えると納得顔で、「難聴もそれが原因ですね。伝達神経がウイルスに影響を受けたのでしょう。でも、片側なので学習面や生活に大きな支障はないですよ。」というあっさりと返されました。
ここでも医師との相当な温度差がありました。

明らかになっていく様々な症状

やっぱり親の勘が正しかったのです。
動かそうとしない手足も痙攣も脱力も…全然「異常なし」ではありませんでした。
こうして合併症の病名が増えるたび、「サイトメガロってなに?それが原因ってなに?大脳皮質って?何が大丈夫?全部サイトメガロが原因?そんな怖いウイルスがあるのになぜ母子手帳に書いてない?産婦人科の先生はなぜ教えてくれなかった?出産した産婦人科の先生は、自分の産院でサイトメガロに母胎感染した患者がいることを知っているのだろうか…」と心にモヤモヤも増えていきました。

2歳10か月になり幼稚園入園前に再度発達検査実施しました。その結果「軽度知的障害」となり、就園先を知的障害児通所施設に変更しました。

3歳10か月では左ふくらはぎにボトックス注射を打ったところ、左足の尖足が一時的に治り補助輪付の自転車に乗れるようにもなりました。同様にして、左手薬指が曲がっていたのも伸びました。

4歳で、加配制度を利用して公立保育所に入所できました。
そして、現在は地域の公立小学校に兄とともに元気に通学しています。

自責の念、願い

幼いころにはちょっと不便な生活程度で親がフォローすれば良かったのですが、成長とともに周囲との違いを自分で感じ「お母さん、ぼく小学校になったら お兄ちゃんみたいに左手うごく?」と言うようになり、小学生になると「なんでこの手は動かへんのや!くそ!」と自分の手が思い通りに動かないことにいら立つ姿を見せるようになりました。
これでも次男は、他の障害児と比べればすべての症状が軽度であり、軽度だからと簡単に扱われることが増えました。しかし軽度でも周囲と同じようにできないことが多く、支援が必要です。わかってもらえない中で、こうして苦しみながら自分の障害と戦う姿を見るたびに、母親である私は責任を感じて心が痛みます。

もしも、妊娠前にサイトメガロウイルスについて知っていたら…抗体検査をしていれば…何か違ったのかな。妊娠初期に風邪ひいたのは風邪ではなかったのかな…知っていたら長男との接しにも気を付けたのにな…。

でも、トーチの会を知るまでは、詳細なサイトメガロウイルスの知識を得る機会には恵まれなかったのです。 もっと産婦人科や小児科の先生に認知され、これから出産する人に恐怖を感じさせるのではなく、きちんとした知識が広まるよう願います。そして、私と同じ思いをする人が一人でも減ってほしいと思います。

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