抗体検査でCMVに今感染しているのか、以前に感染していたのかがわかりますか?

CMVに特異的なIgMとIgG(抗体)を調べる事でわかります。

注意すべき結果は、IgMが陽性だった場合ですが、初感染妊婦でも陰性を示すことや、逆に長期にわたって陽性をし続ける例も知られています。

IgM陰性、IgG陰性の場合
過去・現在ともにCMVに感染していません。従ってCMVの免疫を持っていない事になるので、妊娠中にCMVに感染しないよう最大限の注意を払ってください。
IgM陰性、IgG陽性の場合
これは過去にCMVに感染経験があり、既にCMVに対する免疫を持っていることを示します。
CMVは体内に潜んだ状態になっていると考えられます。
そのため、胎児が感染する可能性は非常に低いと考えられますが、全くゼロではありません。
IgM陽性、IgG陰性の場合
これはごく最近CMVに初めて感染したことを示します。
初感染後すぐの段階ではIgG抗体は陰性ですが、しばらくして再検査すると陽性に変わってきます(抗体陽転化、またはセロコンバージョンといいます)。
IgMの検査の信頼度は、8割程度ですから、IgGの再検査で陽転化を確認することは、大事なことです。
妊婦さんはCMVに初感染しても、自覚症状がない場合が多いのですが、もし妊娠中に熱が出たりリンパ節が腫れたりした場合には、CMVやトキソプラズマの抗体検査を受けた方がいいのではないかと思います。
IgM陽性、IgG陽性の場合
これは比較的最近CMVに感染したことを示しますが、それが初感染か再感染または再活性化かは判断が出来ません。
初感染だったとしても、それが妊娠してからなのか、妊娠前のことなのかはわかりません。
それを推定するためには、IgG avidity(アヴィディティ)検査を行いますが、残念ながらこれは病院や通常の検査会社では行われていない特殊な検査になります。
妊娠前にIgG陽性であることを知っている場合は、IgG陽性は過去に感染したときにできたものであり、妊娠中に再活性化されたと考える事ができます。
(妊娠前に抗体検査をする意味があるということです。)

以上のように、これから妊娠を考えている方、また妊婦さんは自分のCMVに対する免疫の有無を把握するためにも、CMV抗体検査を行う事をお勧めします。
この時、抗体検査というとIgGの検査だけの場合もありますので、必ず「IgMの結果もわかる検査も一緒にする」ことが大事です。
検査を希望する方は、積極的に自ら産婦人科医師に依頼してみましょう。
可能なら妊娠する前、例えば結婚などの機会に検査をするのが理想です。

妊婦のCMV感染スクリーニングの一例(神戸大学で行われている)

妊娠中の初感染が判明した場合、赤ちゃんにも感染しているのですか?

監修:長崎大学 森内浩幸

妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条

11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。

妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条 イラスト

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