マメちゃんさんの体験談【協力会員】
協力会員
TORCH症候群について、産婦人科医・小児科医は、深い知識を持ち感染の可能性がある妊婦に対して適切な助言を与えられる存在になっていただきたい
体験談寄稿 NO.14 マメちゃんさん
2013/01/15 追加
Data
- 2011年生まれ
- 妊娠3か月妊婦健診の血液検査で、先天性トキソプラズマ感染症疑い
- 1歳での最終検査の結果先天性感染なし
STORY
トキソプラズマの感染発覚
2011年6月に誕生した次女を妊娠中の2011年1月トキソプラズマへの感染が発覚しました。
その前月(2010年12月)に行った妊娠3ヶ月時の血液検査の結果について、長女の時と同様に「何も問題ありませんでしたよ」と言われるとばかり思っていたのですが、担当医師からの報告は想定外のものでした。
「トキソプラズマ抗体値が高いのでトキソプラズマに感染している疑いがあります。
妊娠中のトキソプラズマ感染は胎児に影響がある場合があるので、心配なら紹介状を書きますから専門医のいる三井記念病院へ行ってください。行くのが大変ならこちらで診ることもできますよ。」
担当医師の対応が専門医の受診を私の判断に委ねる様なものだったため 「念のために確認しておいた方がいいかもしれないがそんなに大事ではないだろう」 と思いました。
紹介状は書いていただいたのですが、三井記念病院の受診には予約が必要。 私はフルタイム勤務をしていて、長女(当時3歳)もおり、おまけに夫がアメリカへ長期(3ヶ月)出張に出発したばかりで不在でした。
仕事を調整して三井記念病院に電話をすると小島先生の外来は予約でいっぱい。
なんとか受診できたのは血液検査から2ヶ月経過した2011年2月半ばでした。
専門医を受診
トキソプラズマという感染症の名前は知っていましたが、内容としては「猫から感染するもの」という程度。
小島医師からトキソプラズマ先天性感染の引き起こす胎児の様々な障害の可能性についてお話を伺い大変驚きました。
私の妊娠週数が進んでいることと産院で行った抗体検査の結果が高かったので三井記念病院での精密検査結果を待たずに抗生剤服用開始を勧められました。
診察前の感染源調査(アンケート用紙の記入)と長女の妊娠中の感染及び長女は抗体検査の結果感染はなかったことから、私の感染源は妊娠直前の2011年8月下旬に久しぶりに同僚と飲みに行った際に居酒屋で初めて食べた生レバーだと思います。
「産まれてくる赤ちゃんに障害があるかもしれない。」
そのことだけが頭の中をグルグルとまわり続けました。
一番相談したい夫は遠いアメリカ。 インターネットで検索しても具体的に参考になる話はみつけられませんでした。 情けない話ですが3歳の長女に「病気の赤ちゃんが産まれてくるかもしれない」と泣きながら伝え、泣かせてしまったこともありました。 保育園の園長先生にも話を聞いてもらいました。
そして、そんな最中に発生した東日本大震災。
私は東京都在住ですので直接的な被害は大きくなかったのですが、震災という大惨事を目の当たりにしたことがきっかけでトキソプラズマ感染で起こりうる障害の可能性についてばかり考えてしまっていたのが「何か障害を持って産まれて来たとしても無事に産まれてきてくれればそれでいい」という思いに変わりました。
治療と検査
それから出産までインターバル期間はありましたが、ずっとアセチルスピラマイシン等の抗生剤を服用しました。 また産院では健診の都度、超音波検査を行い水頭症などの可能性について確認しました。
三井記念病院小島医師と産院のトキソプラズマ感染に対する認識には温度差がありました。
産院の担当医師は受診のたびに違うことも多かったですが、トキソプラズマについては「そんなに心配しなくて大丈夫じゃない?」という反応。でも、その温度差に深刻になりすぎずに救われた部分もあります。
出産から現在
そして2011年6月。予定日から一日遅れで無事次女を出産しました。
胎盤、臍帯血、次女及び私自身の血液は出産直後のものを採取してトキソプラズマの抗体検査にかけられました。
また、産後すぐに三井記念病院に連絡をとり次女の先天性感染がないかを調べる検査(血液検査、頭部レントゲン)の予約をしました。
通常は生後3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月に検査を行うところを、次女は6ヶ月でのトキソプラズマの抗体値が高かったため9ヶ月でも検査を受けました。
1歳での最終検査の結果、幸い次女は先天性感染はないという診断でした。
産婦人科医や小児科医につたえたいこと
もしも最初にトキソプラズマ感染を告げられた時に、
産院で担当医師の「専門医の受診はしてもいいし、しなくてもいい」という話に安心して専門医の診察を受けない選択をしていたら…?
次女の場合は先天性感染はなかったので、良かったのですが、これがもし先天性感染があったとして、それなのに専門医の診察も受けないままいたら…?
その場合に起こり得ただろう現在の状況を考えると恐ろしく思います。
これが私の体験を通して一番伝えたいことなのですが、TORCH症候群について、産婦人科医・小児科医のみなさんは、抗体検査を行うことや感染症について知っているだけでなく、深い知識を持ち感染の可能性がある妊婦に対して適切な助言を与えられる存在になっていただきたいです。
妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条
11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。\ NEW / 印刷して見える所に貼ろう! 11か条イラスト版PDF