何に気をつけて生活すればよいのか?

妊娠を希望される女性(あるいは妊婦さん)に感染歴がなく、しかも猫にも感染歴がない場合一番危険であることはご理解いただけたことと思います。
このような場合、妊娠中は猫をどこかへ預けることを考慮してもよいでしょう。
しかし預け先がない、あるいは家族同然の猫と離れ難いといった場合もあろうかと思います。
このような場合に気をつけるべきことですが、第一に猫をトキソプラズマに感染させないことです。
そして第二に、万が一にも愛猫がトキソプラズマに感染した場合に備え、猫から人への感染ルートをあらかじめ遮断しておくことです。

猫にトキソプラズマを感染させないために注意すること

  1. 猫を外へ出さない

    トキソプラズマはほとんどすべての哺乳類・鳥類に感染します。
    猫がトキソプラズマに感染したネズミや野鳥などを捕まえて口にすれば感染してしまいます。また屋外ではトキソプラズマを排出中の野良猫の糞に触れる機会も増えます。
    このため猫の感染を防ぐため完全室内飼いにする必要があります。
    庭に野良猫が来る場合など、トキソプラズマの虫体を含んだ野良猫の糞が庭に落ちているかもしれません。「庭で遊ぶくらい良いだろう」と油断しないようにしましょう。

  2. 猫に生肉をあたえない

    妊婦が生肉を食べることでトキソプラズマに感染するのと同様、猫も生肉から感染します。
    なぜか日本では、豚肉は生で食べてはいけないが牛肉は大丈夫という風潮がありますが、全く根拠がありません。鶏肉を含むすべての肉について生ではトキソプラズマ感染のリスクがあります。最近、犬や猫に市販のドッグフード、キャットフードだけでなく手作りの餌を与える方が増えおり、猫の餌として生肉が推奨されることもあるようです。
    ですが妊婦さんがいらっしゃる環境で猫に生肉を与えることは絶対に避けるべきです。
    生ハムなど未加熱の食肉加工品も同様です。

  3. 成猫・子猫にかかわらず、他所の猫と接触させない

    ときおり「ほとんどの猫が子猫の間にトキソプラズマに感染してしまっており、成猫が虫体を排出することはまれ」という意見を耳にしますが、これは日本にはあてはまりません。
    日本では成猫でも多くの猫が未感染です。そして成猫であっても初めて感染したときには糞に虫体を排出します。
    ですから子猫であろうが成猫であろうがほぼ同等のリスクを持っていると考えるべきです。子猫、成猫にかかわらず、野良猫とあなたの愛猫が接触しないように気をつけましょう。
    野良猫との直接的な接触だけでなく、野良猫の糞で汚染された土壌から感染することもあります。野良猫との直接的な接触だけでなく、野良猫が出入りするような場所にあなたの愛猫を近づけないことが重要です。

猫から人への感染ルートを遮断する方法

  1. 猫の糞にふれない、触れたら手を洗う

    猫が排出するトキソプラズマの虫体は糞に含まれています。
    糞にはふれないようにしましょう
    猫のトイレ掃除を妊婦さんにさせないようにしたいものです。
    どうしても妊婦さんが行わねばならない場合は、マスクと手袋を着用したり十分手洗いしたりするなど、糞が口に入らないよう細心の注意をはらいましょう。

  2. 猫のトイレ掃除は頻繁に ― できれば1日2回 ―

    猫の糞に排出されたばかりのトキソプラズマの虫体は未熟な状態ですのでまだ感染力を持っていません。ですから、排出されたばかりの虫体を万が一飲み込んでも感染することはありません。
    しかし猫の体外に排出されてから24時間から72時間たつと感染力を持つようになります。
    したがって猫が排便してから24時間以内に確実に糞を片付ければよいわけです。
    猫のトイレは少なくとも毎日1回は掃除しましょう
    早いものは排便後24時間で感染力を持つことを考えれば、1日2回掃除することが理想的です。

  3. 猫の糞は密閉して捨てる

    猫の糞に排出されるトキソプラズマの虫体はオーシストとよばれる非常に丈夫な構造をしており、少なくとも数ヶ月は生きています。したがって、糞が乾燥してほこりのようになって舞い上がり、周辺の土や水に混じってしまうと非常に危険です。
    直接猫の糞にふれないように気をつけていても庭の土などから感染してしまいます。
    せっかく1日2回猫のトイレを掃除しても糞の入ったゴミ袋の口が開いていたりすればこういった事態を引き起こしかねません。
    糞の入った袋はしっかり口を閉じて捨てましょう
    トイレとして使用している容器を水洗いした場合、廃水の処理にも十分留意してください。

  4. 間接的な感染を防ぐ

    あなたの愛猫が数ヶ月前にトキソプラズマに感染し、既に虫体の排出を終わっていたとしても猫からの感染の可能性が完全にゼロになったわけではありません。
    数ヶ月前に排出した虫体が庭の土や雨どいの水の中に生きているかもしれません。
    猫の糞が混じりそうなものにふれた場合は十分手洗いをしましょう。
    猫の糞を庭に埋めて処理したり排水溝に投げ入れたりするなど、「トキソプラズマの虫体を環境中に拡散する行為」を普段からしないことで、こうした危険性を下げることができます。
    また近隣にお住まいの妊婦さんのことも考えれば、飼い猫が知らない間に他所のお宅の庭で糞をしている、といった飼い方はしないように注意したいものです。 

専門家からひとこと

ここで説明したとおりすべての妊婦さんにとって猫が危険なわけではありません。
また、すべての猫が危険なわけでもありません。
ご自身と愛猫の感染歴を正しく把握し冷静に対処していただければと思います。

もちろん日本における猫の感染率の低さを考えれば、検査の結果「ご自身も愛猫も未感染」という最もリスクの高い組み合わせであることが判明する場合も多いでしょう。
その場合でもここにあげた注意事項に留意すれば感染の可能性をかなり低減できるはずです。
猫に対して過度に神経質になることなく、また無防備になることもないようにしながら、楽しいマタニティーライフをすごしていただけることを願っています。

寄稿:岐阜大学 応用生物科学部 獣医寄生虫病学分野 准教授  高島康弘先生

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