5/8日本小児耳鼻咽喉科学会で登壇しました
5/8-9に軽井沢にて第10回日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会がひらかれました。
http://www.gakkai.co.jp/ped10/program.html
当日は天気にも恵まれ、避暑地らしい清々しい雰囲気でした。
場所は軽井沢プリンスホテルのウエスト。その第一会場「長野」にてシンポジウム1「先天性サイトメガロウイルス感染症をめぐる各科の取り組み」がひらかれました。
シンポジウム1 先天性サイトメガロウイルス感染症をめぐる各科の取り組み
- 司会坂田 英明(目白大学耳科学研究所クリニック)
- 司会岩崎 聡(国際医療福祉大学三田病院耳鼻咽喉科)
- イントロ渡邊 智美(先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス
感染症患者会「トーチの会」代表) - 演者錫谷 達夫(福島県立医科大学微生物学講座)
- 演者茂木 英明(信州大学医学部耳鼻咽喉科)
- 演者稲葉 雄二(信州大学医学部小児医学教室)
- 演者大石 勉(埼玉県立小児医療センター感染免疫科、
目白大学耳科学研究所クリニック)
トーチの会からは代表がイントロダクションを担当し、当会の活動内容と患者会としての主張を述べてまいりました。
以下、発表内容より抜粋。
「この患者会の活動は、大きく分けてピアサポートと、教育・啓発の2つです。」
「先天感染を防ぐためと、感染した当事者らを守るために、啓発は必要です。」
「以前よりは母子感染症の認知度も上がってきましたがまだまだ十分とはいえません。本来であれば、こういった啓発活動は国が主導してやるべきですが、いまだ母子手帳への記載もない状況であり、一刻もはやく行動に移してほしいと考えます。」
「周囲の無知による差別の事例として、周りへの感染をおそれた保育園の入園拒否や、入園後の隔離などが起きています。そういった相談を会員より受け、説明資料を当会で作成し、親御さんが園資料持参で何度も説明を繰り返すことで、隔離保育をやめてもらえたという報告もあります。」
「症状が出ても非特異的であるため母児ともになかなか気付かれず見落としが多くなり、そのせいで医師たちにさえ「非常に稀な」「珍しい」病気と誤って認識されています。」
「産科では、妊婦健診で抗体検査や感染を防ぐための生活指導をする施設はとても少ない状況です。」
「小児科では、CMVに関しては古典的な先天性巨細胞封入体症しか意識しませんが、そんな症例はごく一部で、大抵の症例は特発性の難聴、てんかん、自閉症等と診断された患者さん達の中に紛れています。発見・対応の遅れが症状の悪化を招くこともあることを意識し、新生児期のスクリーニングをルーチンに行うのが理想ですし、またそれが実現する前にでも診断漏れをなくす努力が必要です。」
「耳鼻科関連で言えば、新生児聴覚スクリーニングの検査結果がリファーであった時、そこに先天感染による難聴の可能性が潜んでいると思う医師は多くなく、精査を急がない場合があります。あとになって、難聴の原因として先天感染を疑っても、出生から三週間以内でないと確定診断が難しくなってしまいます。もちろん先天性CMV感染症は、遅発性進行性難聴が存在するので聴覚スクリーニングをやっても見逃しがなくなるわけではないのですが、せっかくやるからにはそういった可能性まで考えて欲しいということです。」
「医療関係者側の認識の低さを改善すべく、また、長崎モデルのように各科の間の連携をもっととってもらうべく、医療関係者に向け啓発を行っています。」
「母子感染には「知ること」「正しい情報を得る事」で防げることが少なからずあります。CMVのようなワクチンのない母子感染症には、啓発こそが最も安価で効果ある予防法なので、今後も力を入れていきたいと思います。」
「防ぐことができる、または、軽くすることができる障がいで苦しむ子どもを増やさないためにもトーチの会は活動を続けていきます。」
ブース展示も8日のみ行いました。
シンポジウムの後に、ブースを訪れる人が増え、パンフレット申し込みをする先生方も何人もいらっしゃいました。
直接、患者会の声を現場の医師たちに届ける活動を今後も続けていきたいと思います。
講演の依頼なども随時受け付け中です。ホームページよりお問い合わせください。
http://toxo-cmv.org/contact.html
妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条
11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。\ NEW / 印刷して見える所に貼ろう! 11か条イラスト版PDF