サイトメガロウイルスに感染しないために妊婦がするべき予防法は?
乳幼児の尿や唾液に含まれるウイルスを口に入れないようにすることが最も大切です。そのために以下のことがらを心がけましょう。
- 流水でしっかり手を洗いましょう。
おむつ交換、子どもの食事、鼻水やよだれの処理、オモチャに触れるなどした後は、念入りに手洗いをしましょう。 - 食べ物や飲み物は子どもと分け、同じ箸やスプーンやフォークを使わないようにしましょう。
- 子どもとキスをするときは唾液に気をつけましょう。 子どもの頬や唇へキスすることは避け、代わりにおでこにキスしたり抱きしめたりすると良いでしょう。
- 子どもの尿や唾液がついたオモチャや家具などは、きれいに拭き取りましょう。
またその際は水拭きではなく、界面活性剤(石鹸)、アルコールなどの有機溶媒、次亜塩素酸などが入った消毒薬や清掃用品を使いましょう。
CMVは乾燥にも弱いので、洗濯が難しい敷物や布団類は天日でじゅうぶん乾燥させると安心です。 - 保育所で働く妊婦さんは、少しでも唾液を浴びるリスクを減らすため、CMV排出が乳児よりも少ないと考えられる年長児をなるべく担当してください。
- 妊娠中の性行為には、コンドームを使いましょう。性行為を通じてCMVに感染する可能性があります。オーラルセックスにもリスクがあります。
どんなに頑張ってもウイルスが入って来ることをゼロにするのは難しいかも知れません。でも私たちには非特異的な免疫(自然免疫)の仕組みがあるため、微量のCMVが体内に入っても、すぐに感染が成立するわけではありません。こうした免疫機構が対応できないほどの“大量の”CMVが体内に入り込まないように以上のことに気を付けて生活してください。
コラム1
以上のような、予防のための心がけとなる行動様式を実行していれば、感染予防効果は高いと証明されています(Adler他 Pediatr Infect Dis J. 1996)。また新型コロナのパンデミックの間、保育園などでも手洗いや消毒が徹底して行われていたことを反映してか、この間に先天性CMV感染症の発生が減ったことが各国から報告されています。
コラム2
CMVにまだ感染していない人(抗体陰性の人)はもちろんですが、既に感染している人(抗体陽性の人)でも大量のウイルスが入って来ると「再感染」することがあります。妊娠中はCMV以外にも注意すべき感染症がありますので、すべての妊婦さんはお子さんの唾液や尿を介しての感染には注意しましょう。
監修 長崎大学 森内浩幸
妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条
11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。\ NEW / 印刷して見える所に貼ろう! 11か条イラスト版PDF