妊婦さんは肉だけじゃなく「貝」も生で食べるのは避けましょう
ラッコやアザラシがトキソプラズマに感染して大量に死んでいる、という話はずいぶん前から言われており90年代から研究もされ続けています。
ここで、海にいる動物がなぜトキソプラズマに感染?という疑問がわいてくるのですが、それを繋ぐのがどうやらラッコたちの食べている「二枚貝」だというのです。
河川や小川の河口近くの沿岸部に住んでいるラッコやアザラシは、それ以外の場所にいる個体よりもトキソプラズマに三倍以上多く感染している可能性があるといわれており、これはネコが多いエリアからトキソプラズマのオーシストを含んだ雨水や土壌(洪水などでは大量に河川から海に流出する)が海に流入することなどが原因と推測されています。
トキソプラズマのオーシストは非常に丈夫な構造のため、海水内に放たれても生きており、海藻などに付着するものもあります。
貝は海藻を食べたり、海水を取り込んでその中のプランクトンを食べたりするので、
海藻や海水と一緒にトキソプラズマのオーシストまで貝の中に取り込んでしまい、
そしてその貝をラッコなどがトキソプラズマごと食べて感染してしまうのだそうです。
そして、この「貝からトキソプラズマに感染」という問題はラッコやアザラシだけではなく、人間でも報告されるようになりました。
台湾でのトキソプラズマ感染においてはアサリやハマグリの生食は関連が濃厚と言われるも、カキの生食は関わりがあるとは言い切れない旨の報告がなされましたが、
一方で、中国やブラジルで流通しているカキからトキソプラズマが検出されたという報告もあり、
河口付近で養殖されている貝類もトキソプラズマのオーシストを体内に取り込んでいる可能性があると推測されます。
日本ではまだ報告はありませんが、見逃しているだけかもしれません。
妊婦さんや、妊活中の方は貝を生で食べることも避けておく方が無難ですね。
2022年の産婦人科感染症学会の教育講演で、トーチの会顧問の小島医師が発表したスライドで紹介したデータも以下にご紹介します。
◎トキソプラズマ感染のリスク因子(米国)
生の牛挽肉(調整オッズ比=6.67)
レアな子羊(8.39)
地元で生産された熟成、乾燥、または燻製肉(1.97)
肉を扱うこと(3.15)
低温殺菌されていない山羊乳(5.09)
3匹以上の子猫を飼うこと(27.89)
生牡蠣・アサリ・ムール貝(2.22)
Clin Infect Dis. 2009 Sep 15;49(6):878-84.より。
米国では仔ネコはリスク因子ですが、貝もリスクです!
◎牡蠣・ムール貝、ハマグリ・アサリとトキソプラズマに関して
ブラジルではトキソプラズマが貝から検出されています。
Genet Mol Res. 2015 May 4;14(2):4658-65.
Zoonoses Public Health. 2019 May;66(3):296-300.
Ann Parasitol. 2021;67(2):137-149. より。
台湾では、ハマグリの生食でヒトのToxo抗体陽性率が上がったと報告されています。
監修 小島俊行
妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条
11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。\ NEW / 印刷して見える所に貼ろう! 11か条イラスト版PDF