2/13埼玉県知事に「先天性サイトメガロウイルス感染症に関する要望書」を提出いたしました
2/13朝10時埼玉県庁舎知事室にて、大野元裕埼玉県知事に直接お会いして説明の上、要望書を提出することができました。
耳科学クリニックhttp://www.jikagaku.jp/の院長(元 目白大学保健医療学部言語聴覚学科 教授)坂田英明先生と同行し、2通(内容はそれぞれ異なります)要望書を提出いたしました。
①坂田英明先生と連名のもの
埼玉県で生まれた赤ちゃん全てに、スクリーニングとして、サイトメガロウイルスの尿検査をするよう、要望しました。
MRI撮影をして初めてわかるような、見た目にわからない症状を持つことが多い先天性サイトメガロウイルス感染症を見つけるためには、スクリーニングをすることが必要です。
診断漏れ、見逃しにより、確定診断ができなくなったり、投薬治療ができなくなったりする可能性を考えると、全例にけんさを行うべきというのは、確かに理想です。
しかし、現在、保険でできるようになった新生児サイトメガロウイルス診断用尿検査は「スクリーニング」として使用することはできませんし、全ての赤ちゃんに行うとなると、費用もかなりかかってしまいます。
そこで、安価なスクリーニング検査が現時点ではまだないという現状で、現実的に実行可能なことを考えました。
それが次の要望書②です。
②長崎大学小児科教授森内浩幸先生と連名のもの
全国の自治体で助成がはじまっている新生児聴覚スクリーニング検査で要再検となった児に対して、サイトメガロウイルス感染疑いとして、保険の新生児のサイトメガロウイルス診断用尿検査を一緒に産院で行うよう、指導することを要望しました。
また、今以上に啓発に力を入れるように要望しました。
先天性サイトメガロウイルス感染症の確定診断には、昨年度保険収載された新生児の尿検査を行いますが、「生後3週間以内の尿」を使う必要があります。(3週間以内の尿じゃないと、胎内感染か産道・母乳などの後天感染か判断できなくなる)
新生児聴覚スクリーニング検査で要再検となった症例に対し、すぐにこの尿検査を行えれば問題ないのですが、現状では難聴の原因として先天性サイトメガロウイルス感染症を疑うということが、「医師の間でさえも周知されておらず」、まずは耳鼻咽喉科への検査依頼をする…という対応となり、再検査を待っている間に生後3週間を過ぎてしまい、
難聴確定後にサイトメガロウイルス感染を疑ったとしても「確定診断ができない」ばかりか、「生後1ヶ月以内に始めることで聴力や発達の改善が期待される抗ウイルス薬での治療ができなく」なってしまうことがほとんどです。
また、診断を確実に行うこと以上に重要なことは、「先天性サイトメガロウイルス感染症予防」です。
直ちに実行できる方策として教育・啓発活動が挙げられます。
なお、同様に啓発が遅れている先天性感染症である先天性トキソプラズマ症に関しても、合わせて啓発することができれば一石二鳥です。
そこで埼玉県において以下の実施を要望いたしました。
- 教育・啓発のためのポスターを作成し、県内の保健所や行政窓口に掲示してもらう
- 母子健康手帳の各自治体に委ねられたページにおいて、母子感染についての記載を充実させる、もしくは副読本で母子感染に関する記載を補填する
- リーフレットを婚姻届、母子健康手帳交付などの機会に配布する(参考資料:「妊娠中の母子感染に注意!!」先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会「トーチの会」https://toxo-cmv.org/download/)
- 産科への妊婦健診(特に初回)受診・両親学級や婦人科・思春期外来受診に際して上記のツールも利用して母子感染についての教育・啓発を行うよう指導する
これらの活動は、健やか親子21の重点課題1「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」や基盤課題A 「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」にも繋がる重要なものだと確信しております。
以上のことは、埼玉県のみならず、全国の自治体で実施されるべきことです。
草の根活動ではありますが、今後とも各自治体に働きかけていこうと思います。
ご協力いただける自治体がありましたら、ぜひ手を挙げていただけると嬉しいです。
各自治体担当者の方々、ご興味ございましたら、トーチの会お問い合わせフォームよりご連絡ください。研修講師も承ります。
妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条
11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。\ NEW / 印刷して見える所に貼ろう! 11か条イラスト版PDF