どのような人がサイトメガロウイルスに感染すると問題なのですか?
正常な免疫能を持つ人にとってほとんど問題にならないCMVですが、「胎児」や「からだの機能が未熟な状態で生まれた赤ちゃん(低出生体重児や早産児など)」、「免疫機能が低下した人」が感染した場合は健康を害する恐れがあります。
妊婦から「胎児」へ感染(妊娠中)
もしも妊娠の早い時期に母親がCMVに感染したり再活性化が起きたりすると、胎盤を通して胎児もCMVに感染する場合があります。
発育途中の胎児が感染した場合は、まだ完成していない脳や感覚器(耳、目)、さまざまな内臓に悪影響を及ぼしてしまうことがあります。
母親から「からだの機能が未熟な状態で生まれた赤ちゃん(低出生体重児や早産児など)」へ感染(出産時~産後)
妊娠前に感染し体内に潜伏していたCMVが再活性化して産道(腟)や母乳中に排出され新生児が感染すると、低出生体重児や早産児などの場合、敗血症のような重篤な症状がでる場合があります。これは、母体から十分な量の抗体を受け取れず、未熟な免疫能のまま出生してしまうために起こります。
免疫機能が低下した人
生まれつき免疫の力が弱い人、HIVに感染した人、がんや自己免疫疾患の治療又は臓器移植の後で免疫力を低下させる薬剤(抗がん剤、ステロイド剤、免疫抑制剤)を使っている人などは、重い病気(日和見感染症)を起こすことがあります。初感染だけではなく、再活性化や新たに少しタイプの違うウイルスに再感染した場合にも問題を起こす恐れがあります。
その結果、失明の危険があるCMV網膜炎 、脳障害を起こす恐れのある脳炎、命に関わる呼吸不全をきたす肺炎(間質性肺炎)、食道潰瘍、腸炎または肝炎が起きることもあります。
近年の医療の進歩の結果、HIV感染者では、抗HIV薬投与によりHIVの活動を抑えることで免疫力が回復し、CMVによる症状が抑えられます。
また移植患者では、ウイルスの活動を定期的にモニターし、活動の兆候がみられると抗ウイルス薬を早めに投与することで重篤な症状が出ることを防ぎます。
監修:長崎大学 森内浩幸
妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条
11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。\ NEW / 印刷して見える所に貼ろう! 11か条イラスト版PDF