抗体検査でトキソプラズマに今感染しているのか、過去に感染していたのかがわかりますか?
妊娠中の初感染なのか、妊娠前に既に感染していたのか、感染した時期を調べる方法は3つあります。
①再度抗体検査する
1つめは最初陰性だった抗体が次に調べた時に陽性になっていれば、その間のどこかで感染したと言えます(厳密には感染してから抗体が陽性になるまで数週間かかることが多いので、最初の検査の数週間前から次の検査の数雨週間前までの間のどこかでの感染となります)。
例えば、妊娠初期の採血で陰性だった抗体が、妊娠後期の採血で陽性になっていたら、妊娠中に初感染したと考えられます。
②IgM抗体の検査
2つめはIgMという抗体を調べます。この抗体は初感染の後でいち早く陽性になりますが、しばらくすると陰性になります。したがって、その病原体に特異的なIgM抗体が陽性であれば、初感染して間も無くだと考えられます。
ただいくつか注意が必要です。第一に、初感染でなく再感染や再活性化(潜伏していたウイルスが眠りから覚めた状態)でも陽性になることがあります。第二に、いったん陽性になったIgMが長期間陽性のままの場合があります。第三に、この抗体は時に感染していなくても陽性と判定されることがあります(偽陽性と言います)。だからIgM抗体陽性であっても初感染とは決まりません。
③アビディティー検査
3つめは抗体(IgG)が病原体(抗原)に結合する強さ(アビディティー)を調べます。抗体と抗原の結合は、感染して間もない時期にはそれほど強くありませんが、時間が経過するにつれて段々強くなって行きます。この強さを調べることで、初感染からどれくらいの時間が経っているのか推定することができます。
問題は、この検査がまだ十分に標準化(どのくらいの強さであればいつ頃の感染なのかを判定する目安を決めること)がされていないことと、まだ保険診療として認められていないことです。
また過去に感染したとわかっても、妊娠中は引き続き「生肉やしっかりと加熱調理されていない肉」は避けてください。他の食中毒のリスクもありますし、稀にジビエ料理を食べることで、野生動物にいるタイプの違うトキソプラズマに再感染する可能性もあります。
(すでに持っているトキソプラズマの抗体がタイプの違うトキソプラズマに対して働かないことがあります。)
妊娠中の初感染が判明した場合、赤ちゃんにも感染しているのですか?≫
監修:長崎大学 森内浩幸
妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条
11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。\ NEW / 印刷して見える所に貼ろう! 11か条イラスト版PDF