妊婦はネコを飼ってはいけないのですか?

トキソプラズマと聞くと、よく出てくる『ネコ』というキーワードについて誤解がないように説明します。

ネコの中で特に注意が必要なのは、「外飼いや野良のネコ」です。

トキソプラズマはどんな動物に寄生しても、『単純な分裂増殖』はできます。
でも、ネコに感染した場合のみ、ネコの腸に行き着いて、そこで、『有性生殖』(「オス」と「メス」の分化が起こり、両性間でのDNAの組み換えがおこり、両親とは異なる遺伝子型の個体を作ること)ができるのです。トキソプラズマにしてみれば種の繁栄の為には有性生殖したいので、最終的にはネコにたどり着きたいわけです。
ネコにたどり着いたラッキーなトキソプラズマ達は、有性生殖を行い、次世代の子孫をネコの糞に紛れ込ませ、また外界に撒き散らします。
ただし、トキソプラズマ達が子孫を撒き散らしてもらえる期間は、 『初めて感染してから二週間くらいだけ』です。この二週間を過ぎたら、後は安穏にネコの体内でじっとして暮らすだけです。
だから、ネコを好きな人、ネコを飼っている人が、みんな危険なわけでは決してありません。
危険なのは、『トキソプラズマに感染して二週間以内のネコ』だけです。

ときどき「普通に飼っていればほとんどの猫は子猫の間に既に感染している。大人の猫についてはほとんど問題ない」
という意見を聞きますが、少なくとも日本について言えばこの意見は間違いです。

北海道から沖縄まで1000匹以上の猫を調査した結果が2003年に報告されていますが、トキソプラズマに感染したことのある猫は10%程度しかいませんでした。

しかし、前述したように、ネコに触れただけでは感染しません。
その糞に含まれたトキソプラズマが口や目に入って初めて感染するのですから以下のことに注意することで、感染の機会はぐっとさがります。

ネコ用トイレは「毎日」掃除をする。
(糞に出て来たトキソプラズマが人に感染できる状態になるまで、通常丸一日以上かかりますので、その前に処理します)
掃除やお世話の際、使い捨て手袋やメガネの装着をする。作業後は手洗いを励行する。 (ネコの糞に限らず、後述のとおり、糞の含まれた土から身を守るのにも、十分な手洗いが大事です)
できれば、ネコ用トイレの掃除は他の人にお願いする。
ネコの餌として生肉をあげない(ネコ自体への感染の予防をします)
飼いネコは外飼いしない(主に外でネコは感染してきます)
妊娠中に新たにネコを飼い始めない(そのネコの感染状態がわからないので)

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ネコを飼っていらっしゃる方は、
猫とトキソプラズマ」、
ガーデニング等土からの感染の予防方法は
妊婦が土いじりをすることがどうして危険なのですか?」、
食べ物からの感染の予防方法は
妊婦が生肉を食べることがどうして危険なのですか?」 をご覧ください。

妊婦が土いじりをすることがどうして危険なのですか?

監修:長崎大学 森内浩幸

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