注意事項をよく心得て生活することにより、あなたのお腹の赤ちゃんに害を及ぼす可能性のある感染症にかかるリスクを、大幅に減らすことができます。
おなかの赤ちゃんを病気から守るためには、どんなことに気を付けたら良いのですか?
ぜひ11か条をチェックしてください!トキソプラズマやサイトメガロウイルスだけじゃなく、他の病原体からもおなかの赤ちゃんを守りたいですし、感染症予防の全体像を把握できますよ!
そんなにたくさん覚えるのは無理です…!
完璧じゃなくていいのです。慎重になりすぎず、できる範囲で大丈夫!
パートナーや家族も、一緒に見て覚えれば安心だし、妊婦さんのストレスも減って良いですね。
パートナーや家族も、一緒に見て覚えれば安心だし、妊婦さんのストレスも減って良いですね。
おなかの赤ちゃんは「みんなで守る」ってことですね!!
そのようなことが起きないように、妊娠中の女性は、「感染しないように予防すること」がとても大切です。
では、具体的にはどうすればよいのか、予防するために注意すべきことを、ここにまとめておきます。監修:長崎大学森内浩幸先生
母子感染予防啓発パンフレット・ポスター
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【NEW】読みやすいイラスト付き11か条
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【NEW】イラスト+解説付き11か条
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妊娠中の感染予防のための
注意事項 – 11か条
石鹸と流水で、しっかり手を洗って下さい。水だけではダメなの?
子供と食器を共有、食べ残しを食べるのはやめましょう。もったいないと思った?
肉は、しっかりと中心部まで加熱してください。レアステーキ、買ってきたお惣菜は?
殺菌されていないミルクや、それらから作られた乳製品は避けましょう。搾りたて牛乳は大丈夫なの?
ネコの汚れたトイレに触れたり、掃除をしたりするのはやめましょう。妊婦がトイレの世話をするのはダメ?
げっ歯類(ネズミの仲間たち)やそれらの排泄物(尿、糞)に触れないようにしましょう。ふれあい動物園で抱くのは?
妊娠中の性行為の際には、コンドームを使いましょう。避妊する必要はないのでは?
母子感染症の原因となる感染症について検査しましょう。妊婦健診で全員検査しないの?
B群溶血性レンサ球菌の保菌者であるか検査してもらいましょう。B群溶血性レンサ球菌とはなんですか?
感染症から自分と胎児の身を守るために、妊娠前にワクチンを打ちましょう。妊娠していてもワクチンは打っていい?
感染している人との接触を避けましょう。知らないうちに感染していないか怖い
がんばりすぎないで、できる範囲で続けることがポイントです。
神経質になりすぎて気が滅入ると、ご飯が食べられなくなったり、眠れなくなったりしちゃいますよね…。
お母さんの元気がなくなると、赤ちゃんを守ってあげる力も弱ってしまいますよ。
それじゃ、元も子もないですよね。逆効果です!
それじゃ、元も子もないですよね。逆効果です!
おなかの中で頑張っている赤ちゃんを、元気なお母さんの体で、援護射撃してあげられるように、ほどほどにがんばります!
ぜひこの11か条を、いつでも見られる場所に貼っておいてください。
\ NEW / 印刷して見える所に貼ろう!
11か条イラスト版PDF
トキソプラズマから胎児を守るために、特に気を付けること
- ネコ用トイレは「毎日」掃除をする。(糞に出て来たトキソプラズマが人に感染できる状態になるまで、通常丸一日以上かかりますので、その前に処理します)
- 掃除やお世話の際、使い捨て手袋やメガネの装着をする。作業後は手洗いを励行する。
(ネコの糞に限らず、後述のとおり、糞の含まれた土から身を守るのにも、十分な手洗いが大事です) - できれば、ネコ用トイレの掃除は他の人にお願いする。
- ネコの餌として生肉をあげない(ネコ自体への感染の予防をします)
- 飼いネコは外飼いしない(主に外でネコは感染してきます)
- 妊娠中に新たにネコを飼い始めない(そのネコの感染状態がわからないので)
- ネコの糞が含まれた土からの感染を防ぐために、公園の砂場遊びやガーデニング、農作業など土をいじる作業中は手袋や眼鏡を装着すること、また作業後は十分な手洗いをすることが大事です。
- 感染を予防するには、生肉を食べないことはもちろんですが、加熱不十分な肉でも感染するリスクがありますので、肉は中心部の赤みがなくなるまでしっかり火を通してください。
トキソプラズマを含む可能性がある肉は以下の通りです。
生ハム、ローストビーフ、レアステーキ、肉のパテ(火を通していないパテ、加熱不十分なパテ)、生サラミ、生ベーコン、ユッケ、馬刺し、鳥刺し、鹿刺し、エゾシカのレアステーキ、鯨刺し、ヤギ刺し、加熱が不十分なジビエ(野生の鳥獣)料理、等 - 確実に中心部まで冷凍することも感染予防になりますが、家庭用冷蔵庫で中心部が-12度まで冷凍できるかどうかは各機種にもよると思いますので不確実です。
外食先ではそういった確実な冷凍が保証されないのでやはり、生は避けるのが望ましいです。 - 殺菌されていないミルクを飲むことは避けてください。また殺菌されていないミルクで作られた乳製品(ソフトチーズなど)も避けてください。
- トキソプラズマがついた包丁で野菜を切って生のまま食べたりしないためにも、
包丁やまな板などの調理器具は生肉用と野菜用に分けて使い、こまめに洗浄し、清潔に保つよう心がけてください。 - すべての野菜や果物は皮をしっかり洗浄してください。
- 洗浄に使用する水についても、ろ過あるいは蒸留処理された(塩素処理だけではダメです)水道水以外の、川の水や井戸水などの生水はトキソプラズマに汚染されている可能性がありますから、よく注意をしてください。
生水を何も処理しないまま飲むことは、妊婦は絶対に避けてください。
サイトメガロウイルスから胎児を守るために、特に気を付けること
- 石鹸と流水でしっかり手を洗ってください。
おむつ交換、子どもの食事、鼻水やよだれの処理、オモチャを触った後は念入りに手洗いすることを常に心がけましょう。 - 食べ物、飲み物は子どもとは別にし、同じ箸やスプーンやフォークも使わないようにしましょう。
- 子どもとキスをするときは唾液に気をつけましょう。
頬や唇へのキスは避けて、その代わりにおでこにキスをしたり抱きしめてあげてください。 - 子どもの体液やおしっこがついてしまったオモチャや家具などは、きれいに拭き取りましょう。
CMVは、界面活性剤(石鹸)、アルコールなどの有機溶媒、次亜塩素酸などに弱いので、単に水拭きではなく、こうしたものが入った消毒薬や清掃用品を使うといいでしょう。
また、乾燥にも弱いので、敷物や布団類は天日で十分に乾燥させると安心です。 - 保育所で働いている場合は、なるべく年長の子どもを担当してください。
- 妊娠中の性行為の際には、コンドームを使いましょう。性行為を通じて、サイトメガロウイルスに感染する可能性があります。
その他の母子感染症
感染経路 | 病態 | 感染時期 | 例 | |
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経胎盤 | 急性または持続性活動性感染に伴う(ウイルス・菌・原虫)血症に続く胎盤感染を経て胎児に感染 | 出生前 | 妊娠期間を通じて (特に第一三半期) |
サイトメガロウイルス ヒトパルボウイルスB19 風疹ウイルス トキソプラズマ 梅毒トレポネーマ リステリア菌 リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス |
妊娠期間を通じて (特に周産期) |
B型肝炎ウイルス C型肝炎ウイルス ヒト免疫不全ウイルス |
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急性または持続感染に伴う(ウイルス・菌・原虫)血症の時期に分娩が始まり、胎盤の損傷に続くmicrotansfusionによって胎児に感染 | 周産期 | 分娩開始後 | ||
上行性 | 持続感染又は潜伏期間からの再活性化によって産道に排泄される病原体が上行性に子宮内に侵入し胎児に感染 | 妊娠期間を通じて (特に周産期) |
サイトメガロウイルス B群溶血性レンサ球菌 ヒト免疫不全ウイルス 単純ヘルペスウイルス リステリア菌 |
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経産道 | 持続感染または潜伏感染からの再活性化によって産道に排出される病原体を経膣分娩の際に獲得 | 経膣分娩時 | ||
経膣分娩の際に母体血中の病原体が児の皮膚・粘膜を介して感染 | 経膣分娩時 | B型肝炎ウイルス C型肝炎ウイルス ヒト免疫不全ウイルス リステリア菌 |
||
経母乳 | 持続感染または潜伏感染からの再活性化によって母乳に排泄される病原体を経口摂取する際に獲得 | 出生後 | 授乳時 | サイトメガロウイルス ヒト免疫不全ウイルス ヒトT細胞白血病ウイルス |
(長崎大学森内より提供)
監修:長崎大学 森内浩幸